【大高校】レギュラー授業再開。映画「オッペンハイマー」とアメリカの歴史 | 進学塾 星煌学院

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こんにちは、星煌学院大高校の水野です。

春期講習が終わり、今週からレギュラー授業の再開です。

数学はどの学年も1章の計算単元が終わり、いよいよ差がつく内容に突入していきます。

 

大高校の数学の授業では、「知識」と「思考」の2つを大切にしながら進めています。知識として、解法を覚えないといけない問題がいくつかあります。しかし、思考がないと少しひねったり組み合わさったりしたら解けなくなります。

この2つをバランスよく強化していき、例えば授業でやったAという問題の類題BCDEを自分で解けるようになることを目指しています。そのために、いかに再現性のある解法を伝えていくかを考えながら40分の授業を行なっています。

 

大高校では新入塾生絶賛募集中です。よろしくお願いします。

 

話は変わりますが、先日映画館で「オッペンハイマー」を観ました。

カイ・バードとマーティン・J・シャーウィンが2006年に発表した伝記本「American Prometheus: the triumph and tragedy of J. Robert Oppenheimer」を基にした映画です。(以下映画の内容を大幅に含みます)

 

 

ロバート・オッペンハイマー(演 キリアン・マーフィー)は、子供の頃から数学や科学において特別な才能を持っていました。ハーバード大学を飛び級の首席で卒業し、その後、留学先のドイツでニールス・ボーアやヴェルナー・ハイゼンベルクなどの量子力学の天才達と出会います。そして、彼らの影響で自分も同じ理論物理学の道を歩み始めることになります。若くしてアメリカの名門 カリフォルニア大学バークレー校の教授となり、物理学の教鞭をとりながら先駆的な研究を行なっていきます。しかし彼がブラックホールについての研究を発表した1939年、ナチスドイツがポーランドに侵攻し第二次世界大戦が始まります。そしてそれが、彼の運命を大きく変えていくことになります。

 

この映画はオッペンハイマーの人生を回顧しながら、戦後のある2つの話を軸に物語が進んでいきます。

 

1つは赤狩りの時代の1954年。ソ連のスパイの疑惑を受けたオッペンハイマーが聴聞会で追及を受けます。彼は第二次世界大戦中に原子爆弾の開発を行なった「マンハッタン計画」の科学班のリーダーで、その開発を主導しました。しかし彼の周りには共産党員が多く、ソ連への情報漏洩を疑われました。また戦後ソ連との核開発競争が熾烈になる中、彼が一貫して水素爆弾の開発に反対し続けたことも要因の1つにされました。最終的にスパイとは認められませんでしたが、オッペンハイマーは公職追放の処分を受けることになります。

 

カリフォルニア大学バークレー校

 

もう1つは1959年。アイゼンハワー政権下での政府高官ルイス・ストローズ(演 ロバート・ダウニー・Jr.)の米国商務長官任命の公聴会。ストローズは原子力委員会の委員長を務め、戦後の米国の核兵器開発、核エネルギー政策の重要人物でした。そして、水素爆弾開発の強力な推進者でもありました。また、オッペンハイマーと対立し、彼を追放した1954年の聴聞会を裏で操っていたのもストローズでした。しかし、彼自身もまたオッペンハイマーを支持する科学者たちの批判を浴び、上院で商務長官の任命が拒否されました。

 

3時間という上映時間の中でオッペンハイマーと彼をとりまく人間関係を、当時の政治状況も交えながら史実に沿って描いた映画でした。いろいろ賛否はあると思いますが、戦前から戦後にかけての科学と政治が絡み合うアメリカの歴史の一部分を知ることができます。そしてこれをどう観てどう考えていくかは、やはり観客一人一人に委ねられているのだと思います。長い映画ですが、今自分たちが生きているこの世界を考える上で観るべき映画であると自分は感じました。

 

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