ただいま・・・




え???




ない?!!!





家に帰宅すると玄関に置いてあるはずの娘の自転車がなくなっていた。



確か今日はお友達が遊びに来て、中学校に自転車で行ってみるって話してたけど、みー(娘の名前)は自転車は嫌だから走ってついていくって行ってたはずなのに・・・

 



心臓が不安で高鳴る。

 

 


つい先日、約1年ぶりに久々に自転車に乗って、ゆらゆらとぎこちなく道からはみ出しそうな運転だった娘。 

 


自転車、大丈夫かな? 

 


今日友達と行くコースは、この前私と行ったコースとは違うコースで行ってみると言っていたような・・・


どのコースでも中学に行くには絶対に橋を渡らなきゃいけないけど、自転車で橋は無理ってこの前試してわかったのに何で自転車で・・・ 


なにかあったとしても、一緒に遊ぶお友達のうち、一人しかスマホを持ってないし、その子の家は昼間はおばあちゃんしかいないから何かあってもどうにもできないんじゃ・・・




不安で頭がいっぱいになる私に、もう1人の私が話しかけてきた。



(大丈夫。お友達が一緒なんだもん。それに、無理をするような子じゃないってわかってるでしょ?)


うん、そうだよね。わかってる、わかってはいるんだけど・・・



救急車の音とかしていないし。

大丈夫、大丈夫、大丈夫。



気晴らしに何かやろうとしても、頭から不安は離れない。


ほかのことに手がつかないとは、こういうことを言うのだろう。



立ったり座ったりを繰り返す。



あー、この状態にならないようになりたいなー。でも、まだすぐにこの感じから抜け出せる気はしない。



だったら・・・・ 

 



はー、もう降参!

不安に思うのは仕方がないし、今の私には不安はなくせない。もういいやこのままで!今は不安のままで良い。このまま、娘を待ってみよう。本当はすぐにでも様子を見に行きたいけど、それだけは今回頑張って我慢してみよう。娘を信用して、そわそわしない私になりたいから。それに向けてできることを少しずつやっていこう。あまりにも帰りが遅かったら、そしたら様子を見に行く。今回はこれをしてみるんだ!



そう思って、玄関に腰をおろした。

 


1分がとてつもなく長い。 

 


はー、スマホを早く持たせておけば良かったかな?


どうしようか悩んでなかなか決まらない娘のスマホ契約を早くしておけば良かったなと後悔しながらも、大丈夫大丈夫と自分に言い聞かせ娘を待った。 

 

 


数分後、「じゃあねー」と女の子の声がした。



あ!帰ってきたかも!


玄関先に娘の姿がシルエットで浮かび上がる。





は〜〜〜。



安堵のため息が出て、肩から力が抜けた。




「ただいまー。あれ?ママ、どうしたの?」


娘が不思議そうに玄関の私を見た。 

 


「おかえり」


笑顔で、娘を出迎えた。



「違うコースなら行けるかもって試してみたんだ。」


「自転車に乗ってみたら、この前みたいにフラフラしなかったから行ってみた。」


「怖いところは、友達と話しながら自転車をひいていったら大丈夫だったよ。」


「でもやっぱり自転車は止めて徒歩通学にする。」


事の経緯を説明してくれた娘は、もう私が心配するほどの子どもではなくなっていて、自分で色々考えて決めて行動に移せる娘になっていた。





そっかー、成長してるんだな。



私の娘に対する心配度数が、少し低くなった気がした。

 

 


少しずつ少しずつ。


自分のできる範囲での挑戦を繰り返して、その状態に慣れていく。


そうすることで、娘のことで心配しすぎる自分から、安心して待てる自分に変化していけるのだと思う。



一歩一歩、娘から子離れしていこう。





娘が帰宅してほどなくして、救急車の音が聞こえてきた。


ひゃ、間一髪!マジで帰ってくる前に通ってたら、居ても立っても居られなくなってただろうなと、1人想像してクスッと笑えているこの状況に感謝しかない。


神様、ありがとう照れ