あれは、一昨年の夏。 

 



その日は、娘が学校で宿泊訓練に行くというので、1人時間を有意義に過ごそうと思っていた。 

 

パーマとかかけてみようかな?

ショートにしたいけど、したら娘は怒るかな。 

 

自分の髪型について思いを巡らす。

  

 


美容院は・・・というか、美容に関する場所に行くのはどうも苦手だ。

 

綺麗になりたくないわけではない。

もちろん、美しくなれたら良いなという思いはある。だが、私の中で美容に対する優先順位がかなり低いのだ。


綺麗な洋服を着ていたら、走り回れないではないか。所かまわず座れないではないか。


バッチリメイクをしていたら、大口開けてガハハと笑えないではないか。簡単に泣けないではないか。


綺麗に整えた髪型じゃ、子どもが触ってこようとしたら乱されることを恐れて猛烈な勢いで拒否し、目を吊り上げて怒ってしまうではないか。

 

 

つまるところ私は、子どもと一緒に燥(はしゃ)げなくなるぐらいなら、オシャレなんていらねーぜ!  


そんな思考を基本的に持っているのである。 

   

 



さて、夏の夜。

クーラーのない私の寝室では、窓を開けて扇風機をつけて寝るしかない。



寝苦しさを我慢しつつ、網戸にして、翌日のために早く眠りについた。

 

 

翌朝。 

目覚めた瞬間、喉に違和感が走った。



久々に美容院を予約しドキドキしていた私を襲ったのは、39℃の熱だった。

 


 

身体が重い。

吐き気もする。 

 

娘をとりあえず送り出すため、何とか布団から這い出し、朝食の準備まで終え布団に倒れ込んだ。



「・・・いって・・らっ・・・しゃい・・」

死にそうな状態で送り出し、その日の仕事はお休みして、美容院に電話をかけ予約をキャンセルした。

 


マジかー・・・

久々の高熱にずっと寝るしかなく、身体が

「もう寝ていたくないよー!」と悲鳴をあげるぐらい2日間ただただ寝た。



そんなあの夏の日から、気づけば1年半が経過。


なんだかんだで美容院に行くきっかけを失い、今日にいたる。



夜、浴室の鏡で、自分の髪がおしりにまで到達していたのに気づき、流石にそろそろ切るかと、思いたった。



3月には娘の小学校の卒業式もある。


来月にでも、ちょいと小綺麗にしてこようかな。