うちのすぐ裏のアパートに、てっちゃんが住んでました。

てっちゃんは小学校の2年くらい?上の先輩で

どっちかって言うと、、いじめっ子の部類かな。

わたしは完全にいじめられっこの部類ですけれども

 

近所のガキ大将っぽい子でね

とは言うものの、光GENJIの大沢樹生くんみたいなね、そんな感じの子だったんですよ。

 

てっちゃんママが近所で喫茶店をやってました。

路地の裏の裏あたり、いつも鳩が轢かれて死んでた再製紙工場の隣の隣くらい。

 

もともとなにかのお店だったのをてっちゃんママが改装して

喫茶店ぽくしてたんだと思います。

カウンター席ばかりの小さなお店。

大阪のお好み焼き屋さんみたいな感じのお店でした。

 

うちの父はそのお店によくモーニング、食べに行ってたみたいで

わたしも連れていってもらったことがあります

 

入口のドアを開けると、ドアに付けられたベルがカランカランと鳴って

てっちゃんママが「おはよー」って言う。

「いらっしゃい」とかじゃなくて「おはよー」なんですよね、

その声とイントネーションがなんだか心地よくて

もぅ30年以上前のことなんだけどよく覚えています

てっちゃんママのパッツリした髪型とか表情とか。

 

そんなお店のことを、ふと思い出して見てました。

 

 

A.R.P studio公演

‘優しいママのはなし 2024’

 

 

 

 

 

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こぢんまりとしたお店でね、ママのほかにボーイさん?がひとりと、女の子がふたり。

とってもアットホームなお店なの。

 

ここのスナックのママは、、「はーーい」って言うんですよね。

そのイントネーションとか声とか表情とか、とても心地が良くて

 

そんなママと、その周りの人たちのお話。

とっても素敵なお話。

 

何ていうんでしょう、、

サバサバしてると言うか、ドライと言うか

イマドキの子?って言ったらいつがイマドキ?とか言われそうですが

 

イマドキの子ってなんだか関係性が希薄じゃないですか

携帯電話で繋がってるので、、ボタンひとつで縁を切ることができる。

嫌いな人とは付き合わないでいいし、自分にメリットのない人とは関わり合わなくていい

 

わたしの職場でも、、あの子最近見かけないな、って思ってたら

いつのまにか辞ちゃってたりする。

顔合わせる機会いくらでもあったのに、、

「お世話になりました」なんて言葉、聞いたことないっていうね。

なんか寂しいなぁとか思うんですけど、

 

そんなイマドキの子が出てくるんですよ。

ママに対しても、自分の言いたいことバンバン言って。

やっぱり強いな〜、嫌になったらぱっと関係切ってここからいなくなっちゃうんだろうな〜、

とか思って見てたんですけどね

 

1時間20分という短いような長いようなこの時間に、この子のことがだんだんと見えてくる。

意外と熱い子なんだなぁとか、そんな一面が見えてきてぐっときたりする。

 

あぁこの子は小さかった頃お母さんときっとこんなふうに暮らしてたんだろうなとか、つい思いを馳せてしまう

 

 

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とっても優しいママがいて、

ママが素敵だからいろんな人が集まってくる。

 

でもね

集まってくる人たちもみんな、素敵なんですよめちゃくちゃ!

みんなみんな優しいんですよね

 

これはママの物語でもあるけれど、

その周りの、、みんなひとりひとりの物語でもあって

 

1時間20分がとても愛おしい時間でした

 

たくさんの優しさに包まれて、、いまほんと

叫びたくなるくらいにとっても幸せな気分です

 

 

 

 

 

 

 

「あんなに真剣に、、お芝居に情熱を注いでいたのね」
「我儘だけど、、女優なんて多かれ少なかれ誰でも我儘なものだわ」
「我儘な女優ほど好い演技をするっていうし」

 

セーラームーンR 第10話より

(うさぎちゃんたちが十番ホールで演劇を披露する、っていうお話です♪)

 

アンと枕のショットを♪

 

 

 

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今日は中野で劇団40CARATさんの公演を見てきました!

 

40カラットさんの舞台は、ほんと数年ぶり。

あのときも同じ劇場でした。

 

最前列のいちばん上手の端で生演奏を堪能しながら見た舞台を思い出します。

目の前で素敵な生歌をたっぷり聞かせていただいたのを覚えています。

あのときもたしか、イプセンの戯曲を題材にした女優さんのお話でした。

 

 

 

 

清水邦夫作‘楽屋’。

4人の女優さんが登場するお話。

俳優さんが俳優さんを演じる、っていうのはどういう気分なのでしょう??って色々思い巡らせて見てました。

 

 

素敵な舞台セット!!

まるでおとぎ話の世界に足を踏み入れたかのよう。

日常と非日常が入り混じった空間がそこに広がっていました!

 

華やかな舞台とは正反対の、裏の世界。

「楽屋」というのは、、見せることを意識していない機能性のみを追求した無味乾燥な空間であるはずなのに、、

女優さんの目を通してみると、こんなふうに素敵に見えているのだろうか?

 

 

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4人の女優さんは皆、4者4様でそれぞれの人生を背負っていて、、

戦前の女優さんの、芝居の所作が染み込んだ立ち居振る舞いなんかを見ていると、あぁこれが「蓄積」っていうことなのかなぁとか思ったりしました。

 

チェーホフの‘かもめ’の「頭の天辺から足の爪先まで」っていうようなセリフが引用されていましたけれども、、

足の先がまるでアダムスファミリーのハンドのように、生きているように動いていて

そういうコミカルなところとかね

 

4人の女優さんはほんと大真面目なんだけれども、そんな大真面目なところとか、シリアスなシーンでも、、大真面目になればなるほどどこかコミカルなんですよ。笑えてしまう。

 

そんな笑いの中に、、女優さんたちの哀愁みたいなのがにじみ出てくる。。

なんなんでしょう、この感覚。じんわりと心に染みていきます。

 

 

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以前、‘三人姉妹’を見たことがあります。

正直、なんだろ、、クソつまんないなぁとか思ってた。

 

モスクワに行きたい、行きたい、、って

そんなに行きたいなら行けばいいじゃん、って思った。

 

行けないのがわかってるのに、、それでも行きたい、って思って毎日を過ごしている、っていう

「もしかしたら行けるかも」って心のどこかで思いたいって思う、っていう

そんな哀愁。

 

そういうのもあるのかなぁって、今日ふと思いました。

あのクソつまんないお芝居、また見たいな、って思いました。

もう一度見たら、、また違う思いで見られます、きっと。

 

 

 

 

 

東京国際フォーラム!

東京メトロの日比谷駅からちょこっと歩きました。

こういう小ジャレたような町並みは、、普段なかなかご縁がないのでね、ちょっと緊張しますね。

不釣り合いな自分がいて、、なんだか寂しく感じますね。

 

東北の震災のあった年、家元さんの傘寿の会がここのAホールでありまして。

男性群舞のひとりとして舞台に立たせていただいたことがあります。

 

‘鶴亀’、というお祝いのおめでたい曲を、、ド派手にフルオーケストラ&30人くらいの東音会の皆さんの生演奏でホント豪華すぎる舞台だっのですけれども。

出演者、全国から集って来てましたので、中には東北地方の方もいらっしゃいました。

「全然おめでたい気持ちになれない、、」と複雑な心境を吐き出している方もいらっしゃいました。

出演を断念する方もいらっしゃいました。

 

そういう暗い空気が蔓延している世の中でした。

 

 

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‘スワンキング’の世界も、、暗い空気が漂っていました。

戦争が日常にある世界。

 

なんだか、、他人事のように思えない世界。

 

音楽室の後ろの壁に肖像画が貼ってある「ワーグナー」の物語。

そして、バイエルンの王様のルートヴィヒ2世の物語。

ワーグナーさんってこういう人だったんですね、、初めて知りました。

 

「ルートヴィヒは精神など病んでいなかった…ただ、夢を見ていただけ」

そんなセリフから物語は始まるのですが、、

 

ただ夢を見続けることの難しさをわたしたちはよく知っています。

夢を諦めた人は、夢を追い続ける人のことをちょっと、嫉妬したような目で見てしまうのかも知れません。

 

 

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よく、、「鬼の形相」っていいますけれども。

怒りもここまで来ると、それはそれでスカッとしてるといいますか、、気持ちの良いものでもありますね。

 

でも時として人は、、鬼を通り越して、、怒りとか憎悪とか侮蔑だとか、そういうのもひっくるめたような本当に醜い顔をすることがあります。

わたしはこの人生の中で、、そういう表情に出くわしたことが、、1回?2回?位あるのですが、、ほんとシャレになりません。。

 

この話に出てくる、、ワーグナーもルートヴィヒも、そのほかにも色んな人がいるんですけれども

ある人からすればそんな醜い顔を向けられて「ほんと、、大嫌い」と吐き捨てられてもおかしくない人たちばかりであります。

 

そんな中でも彼のことを、彼らのことを、、応援しようとする人がいる。

理解しようとする人がいる。

 

これはものすごい救いだなぁと思いました。

ひとりでもそういう人がいてくれたら、、この人生生きる価値があったなぁと思える。

死んじゃったらおしまいだけれど、、いつ死んでもいい、って思えるくらいに嬉しい、貴いことだと思いました。

なんだか泣けてきます。。

 

 

 

なぁなの愛。

というか、、なぁなが演じるテレーゼの‘愛’。

最愛の人を思う気持ちね。

結晶するんですよ。

 

なぁなの思いが歌に載って、、この舞台の上の空間の空気中で、宝石みたいにキラキラ結晶するんです。

そう見えるんだから。

まぁ、、その美しいこと!!

 

その瞬間、同じ空間にいることができて、、ほんと幸せでした。