美術エッセイ「いい絵と思う基準」 | 画家の雑記帳

美術エッセイ「いい絵と思う基準」


先日書いた、自分なりの「いい絵と思う基準」に
付随することだけど・・・
というわけで・・(第二章)。

たとえば、ものすごく上手な絵なのに、
何とも思わないものも世の中には多い。
超写実の絵でも、言ってみれば
写真にしか見えない作品もあり・・
はるかに写真を超えてると思える作品もある。

それから、たんに表面的に上手い・上手くないでいえば、
たとえば、近代絵画におけるセザンヌの静物画
「林檎とオレンジ」なんて、もしあの絵の通りだったら、
果物も台から転げ落ちるわけだけど(笑)、
世界的名画としてのこっている。。
それに、単に上手いというだけなら、
ゴッホもゴーギャンもあまり上手くないといえるかもしれない。

そして現代の日本人画家でもっと「上手い」画家は
星の数くらいいるかもしれない。。
けれども「上手さを超えた上手さ」まで到達できる人は
一握りなのかもしれない。。

あくまで鑑賞者としての個人的意見だけど、
画家としてめざすべき目標や方向性というのは、
自分はそういうところを目指して
精進してゆきたいなぁと思っている。。
あぁ果てしない道のりかも。。

(第3章)
(※自己のこれまでのコメント発言などからの編集)

とはいえ、技術はもちろん大事なのだけど
職人的技巧だけでは、芸術の大事な要素には届かないといえる。
いろんな人の意見からでも、
たとえば・・いにしえの権威ある展示会などで
「どれも上手い絵ばかりなのだけど、
 響いてくるのが少なかった」など、
これまでそうした意見もよくきくろところで、
自分もそんな印象をもつことが、これまでそれなりによくあった。。
詳しくいえば・・
熟練した人たちの、夕焼けや富士山や応接間の貴婦人や・・
そうした絵の数々をみて、う~んどれもすごく上手いな~と
感心するわけなのだけど
(もちろんそのレベルまでいくことはすごく大変で)、
でも実際「絵として」響いてくるものとなると
そうではない気がするということ。。

また、絵は描くモチーフによるけど
「迫力」だったり、「静謐感」だったり、
そうした全体からくるオーラみたいなものは、
たんに「正確緻密に描く」などを超えた領域かなと思う。

なので、たとえば動物などを描いて
まるで「生きてるみたい・・」となる場合は、
その動物の生命感まで描きうつせてることになり、
どこまでその内奥に迫れているかといった部分などが
大事な要素ともいえる。。
ダビンチなどは表層のみでなく、その骨格まで
深く研究しつくしたりしていたわけだけど・・。

また、絵の世界において、写実的な絵を描かない人に
とっては、感覚や感性重視というところからか、
「デッサンなんか必要ない」という人もいますが、
目の前のものを正確に捉える力がなく、
空想もなにもないと・・個人的に思う。
それは書でいえば、楷書もできずいきなり草書を
書き出すようなものかも。。
(もちろん、基礎も何も必要のない、
 天才的な例外もいるのでしょうけど・・)

そして、たとえば冒頭の文中の・・写真のような絵を
描くことに関して言えば・・(それこそ大変なことなのだけど)
言うなれば、写真の域で終わってるのも多いように思える。。。
詳しく書くと・・普通の写真だと、フォーカスの当たる部分と
それ以外の部分に大きな差はないのだけど
光の濃淡とか強調とかで
写真よりもよりリアルな存在感を感じさせてくれる
そんな写実画というものある。
まさにそのへんの違いは「写実画」の世界でも
大きく差の出るところだと思う。。

光の構成などでいえば・・有名なレンブラントや
フェルメールはやはり素晴らしく
その深い奥行きを絵から感じさせてくれる。
まぁ、近代絵画と現代絵画を単純に同列に比較はできないけれど、
現代の超写実画などは、その水準自体はものすごく高いわけだけど・・
あまりそこまで深い奥行きを感じるのは、
そんなに多くない気がする・・。
もちろん、反対に古典絵画のなかでも、
やはりものすごく上手で、でも観ていて退屈というのも
たくさんあるといえるけど。。
(まぁ、鑑賞者としての
 僕の受信機が壊れてるだけかもしれません(笑))

ともあれ、絵を描くことは、技術力そのものは
大事な要素であることは言うまでもなく
なにをするのでもその裏付けとなり、
作品そのものクオリティーも高くなるので、
技術力と芸術性とともに不可欠だと思う。
ただ、たんに、陥りがちな側面として、
一般の製造品とは違い、技術至上主義ならだめで、
ましてや、もし自己の技術のテクニック自慢
のようなつもりの作品なら、多くの人の心はつかめないと思う。

結局、写実画にしても、空想画にしても、抽象画にしても、
すべて構図や色彩構成や筆遣いや様々な技術を要し、
プラス、芸術としての感性がその絵の中にいかに息づいてるか
ということが加わって、時に、多くの人の心に響いてゆく
作品になってゆくものを思う。。

(以上・・・あくまで個人的見解な考察でした。)