絶対色感。 | 画家の雑記帳

絶対色感。


先日、絵画鑑賞の記事でヴァルールのことに触れたら
メッセージで、より詳しくとのご要望をいただいた。。

非常に説明の難しい専門用語だけど、
なるべくわかりやすく説明をさせていただこうと思う。。

(※あくまで、解説です。。^^;
 ヴァルールを極めるなんて
 自分でもまだまだと自負してます/苦笑)
 
さて、たとえば、音楽の世界で絶対音感という言葉があるが
言うなれば、「絶対色感」と言ったものであろうか。。

あまりにヴァルールが合ってないと、まるで
音程の合ってない音楽のようなものになるかもしれない。
合っている場合は、色の和音とも言える。。。
(上手いこと言った/自画自賛^^)

美術辞書をひもとけば・・・・
『ふたつの色の面を並ベ置きすると、それぞれの色が
もつ明るさに応じて、一方が他方に対して、
進出したり後退したりして見える。
その程度は、相互の明度差や面積によって差が生じる。
この視覚効果は、事物の前後、遠近関係の表現に利用
できる。このとき、明暗と位置関係の一致度を
ヴァルールが「合っている」、否なら「狂っている」
などという。』とある。

ちなみに、、自分の描いた作品をフォトショップなどの
ソフトに取り込んで、各部の明暗の調整とかすると
(超めんどくさいけど/笑)
ヴァルールの特訓になるかもしれません。。

絵画作品で例をいうと・・
先の記事でルノアールを出したけど、、
美術館などでルノアールを間近で見て頂くと、
けっこう雑な描き方だったりする。。
印象派絵画はとくにそうだ。。。
超細密に描かない分、よけいにヴァルール力が
問われるとも言える。。
さて、そのルノアールの絵画にしても、、
一定の離れた位置から眺めると・・・
(各自の視力によって多少距離は違うけど)
雑に描かれた部分も・・
ドレスはまさにドレスの質感が・・・、
手には手の肌感が見事に表現されている。。
(まさに、明暗と位置関係による視覚効果を把握してるから)

そうヴァルールは単にアカデミックな絵だけに
言えることではなく、抽象画でも印象派の絵画でも
それぞれの絵についていえることでもある。

絵画が好きな人ならご存知の人は多いと思うが
19世紀末~20世紀初頭に活躍したブラマンクがいる。
ワシも大好きだ。。彼はその強烈な色彩と激しいタッチ
で「野獣派」と言われたフォービズム絵画の巨匠である。。

かつて、佐伯祐三がパリで絵画の修行をしはじめた頃、
すでに有名なブラマンクのアトリエに訪れ、
自分の作品を見て下さいと願ったことがある。。
初対面にも関わらず、手厳しく批判され
佐伯はへこんだのであるが、要するに・・
「ヴァルールがぜんぜん合ってない!」と
怒鳴られたそうである。。。

佐伯祐三もまた、ファービズムの流れを汲む画家で
若くして亡くなったが、後の日本の巨匠である。。
「ヴァルール」、このエピソードでもわかるように
絵画においてとても重要な要素なのである。。

佐伯祐三の絵も、もちろん幾度も美術館で見たことあるが
木でもカフェでも歪んでいて、、けっして正確なフォルムでは
ない。。けれども、、色と筆致の織りなすその絶妙さは
組曲だったり交響曲だったりする。。
まるで美しい詩と音楽がその絵の中に詰まっている。。。
きっと、ブラマンクとの出会い、そしてその厳しき指摘
がのちのち大きく生かされていったに違いない。。

一つの絵の中に、、たとえば木があり、道があり、
人がいるとして、、その構図も大事だし、、
それぞれの人や木のフォルムの表現も大事である。。
そしてタッチも大事である。。また表現によって
色そのものの発色の鮮やかさだったり
絵によっては渋さや暗さだったりも大事である。
そしてマチエール(絵肌)も大事である。。
とともに、、このヴァルールは、、最重要である。。

自分もまだまだであるが、やはり色をどう使い
どう組み合わせ、絵画表現するかという点は、
単に好き勝手で空想画を描いてる時でも
いちばん心をくだく要素である。。

このように、、、音楽などと同じで、
絵画もセオリーなるものが、当たり前だがある。。
色音痴という言葉があるが、、ヴァルールが合っていないと
そういうことになり、ヴァルールがあってると
メロディーやリズムが調和した音楽のような絵になると言える。。

ヴァルール・・・なんとなくおわかりいただけましたでしょうか。。