芸術エッセイ 〜模倣と独創〜 | 画家の雑記帳

芸術エッセイ 〜模倣と独創〜


ずいぶんと、以前のことになるが・・・
NHKの番組で、坂本龍一が
興味深いことを語っていた。。
記憶があまり正確ではないが・・
趣旨はこんなこと。。。

この世に、ほんとに意味で
完全オリジナルなものなんてあるのか・・。
音楽の世界も、もうすでに出尽くしていて
本当の意味でのオリジナルというのは
極めて難しいということ。
そして自分は・・・
1%のオリジナルを出すために、創作に全力を注いでる・・
みたいなことを言っていた。。

その時、ちなみに・・・その番組で
ある曲を演奏して・・・
それはいかにも「SAKAMOTO」の曲に聴こえたが
本人いわく、これはいかにも僕の曲のように
思えるかもしれないが、実際は
バッハの曲をいじりまくって
アレンジすると、編曲次第でたとえばこうなる・・
みないなタネ明かしをされていた。。

話しは変わるが・・・、
去年のインタビューで
同じく坂本さんが(大ファンなんです^^;)
こんなことも言っていた。。

最近のバンドで聴いていると・・・
やたらミスチル調な世界が多い。。。
でもそのミスチルも、、楽曲構成において
専門家ならわかるが、かなりエルビスコステロ
からすごくパクってるところが多い(笑)
みたい趣旨のこと言っていた。。

僕も・・・、坂本教授の説には大賛成で
ほんとのオリジナルなんて、
そうそうこの世の中にはないと思ってる。。

絵を本格的にはじめて、自分なりに
かなり膨大な画集も見てきたが、
「まだ見た事もないようなスタイルの絵」を
見たことがない。。
何かは何かに必ず似ているところがあるものだ。。

よく、キュビズムっぽい絵を描くと
すぐに「ピカソ」と言われるが(笑)、
その彼もまた、模倣の達人である。。
ちなみに、キュビズムに関して言えば
一般の人には彼が創始者のように思われているが、
生みの親はセザンヌである。彼のりんごの絵・・
$画家の雑記帳
これをもしリアルの世界で再現すると、
完全にテーブルからりんごが転げおちる(笑)。
テーブルの左右の足の長さも違う。
あの絵は、それぞれのりんごを、上からとか
正面からとか「多角視点」で描かれたもの。。
それがピカソをはじめ当時の画家たちに影響を与え、
また、「発想の模倣」として取り入れられていった。。
また時代背景としては、、当時、黒人の仮面や置物など、
アフリカンアートがパリで流行していて、
セザンヌのスタイルとアフリカンアートの世界
をうまく組み合わせて、独自の世界を
生み出していったピカソの経緯がある。。
そのへんが凄いところなのけど、、
けれど何もかもがピカソではないのだ。。
また、それまで、、ピカソ自身、当時のいろんな画家
の絵を取り入れてもいた。。

たとえば・・・、(2点ばかり紹介します)

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この絵は・・・ムンク風のピカソ。。


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そして、この絵は、ルノワール+ロートレック風
である。。

ほかにも、これ完全にロートレックでしょ?
というのもあるし、、これは完全にエルグレコでしょ?
というものなど、けっこういろいろある。。
(特に初期は、かなりいろいろ取り入れられていた・・。
そして・・最終的には、、彼流の世界が構築されていった)

かのシャガールも独自の世界観が確立されてるけど
たとえば彼の初期の頃の絵にこんなのがある。。


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この絵は、スタイルに分ければ・・
オルフィスムという分野になる。。

そしてオルフィスムの巨匠といえば、
僕の大好きなロベルト・ドローネーである。
ちなみに、これは画集の表紙・・↓

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上のシャガールの絵は、人物こそ入ってるけど
構成の仕方とか過分に影響受けまくってますよね。。。

まぁ、こんな風に、時には影響うけあったり
模倣から新たなものも生まれていくわけなのですね。。

絵の世界でも、誰々の絵が誰々の絵に似ている
のは、今日にいたるまでかなりあります。。
逆に、、誰からも影響を受けてないものなんて
音楽でも絵画でもあるのだろうか・・・。
それにスタイルが出尽くしている現代・・・
共通する部分は必ず出てくるし、、
過去のものに共通してる部分でも
それはもうスタイルとしてのスタンダードなわけで
キャビズムっぽいスタイルの描いたら
なんでも「ピカソ」扱いされるのは
あまり絵を知らない人の言葉とも言える。。

最近、ある画家さんと話しをしてたら、
自分の作品に「これは◯◯に似てる・・」とか言われる
ことがあり、それはあまり気持ちいいもんではない。。
ということを話していた。。
で、たぶん、その◯◯という画家の作品さえ、
世界中の古今東西の誰かの絵にきっと似ているものが
あるはずなのだ。。

それは、冒頭の話しでいえば、、
最近のバンドの人の曲の中に
もしミスチルっぽい曲があって・・
その人に「ミスチルみたいですね」というのと
変わらない気がする。。

まぁ、僕の場合は、この絵は
ピカソとクリムトの世界をモチーフに
それを自分なりに融合して、現代的なライト
な色遣いで彩色しました~、なんてことを
作品説明するときに平気で言ってるが(笑)。

ともあれ、、日本の洋風文化もすべて
すべて模倣からはじまって、、それは
車でも時計でも・・なんでもそう、
そして、「メイドインジャパン」
を生み出していった。。。

模倣はそれ自体、何も悪くないのである。。

どこかの国のなんでも完全コピー(笑)
な世界観でなく・・・
そうシャネルがチャナルだったり
ロレックスがロラックスだったり(爆)
そういう模倣は悪だと思うが・・・

どんな世界も・・ゼロから生まれるものではなく
伝統や時代の流行から、いろんなものがチョイス
され、応用され、違うものと違うものが組み合わされ、
そしてまた新しいスタイルというのも
生まれてくるのである。。。

なので、なんでも、すぐに
これは◯◯に似ているなんて表現も
おかしい場合があるし、場合によっては
短絡的でかなり失礼な場合もある。。。
気をつけたいもんである。。。

個人的には、最初にあげた坂本龍一の弁
ではないが、、
いろんなものを取り入れ応用しながら
1%のオリジナルをめざすみたいな感覚と
温故知新みたいな感覚で、
自分の表現を追及している。。。

仮に、何かに似ていても、、本人の自分は、、
これは◯◯から影響うけ、インスパイアーされ
制作しましたよ~って平気で言えるし、
「模倣から独創」というのは創作の原点
のようにも、、個人的には思っている。。

今日も、1%さらに1%と
ほんとの意味でのオリジナルをだすために
制作にいそしみたいと思う。


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