画家と画廊(第7話)〜絵の値段〜
さて、画家における「個展」という部分
でいろんな角度から論じてきました。。
今日は・・
いざ、個展する時に
悩む人の多い問題・・・について。
それはまず「値段」。
実際に、個展をする段階で
「あの~値段なんですが
いくらにしましょう??」と、
特に個展を初めてする画家さんには
そんな風に聞かれたりすることもあった。
僕としては、「じゃ、この作品は
このくらいの値段で・・」なんて
そんなことは言えない。。
いろんな思い入れもあるでしょうしね。。
ただもちろん、画廊が値段を決めるところ
だってあるのだけど・・。
それで僕が言うとすれば・・次のようなこと。。
もちろん、絵の具代、キャンバス代、額代と
最低限の経費の部分もあるし、一つの作品となるまでに
要した製作時間という部分もあると思います。
そしてアーティストとしての創作手数料としての部分も。。
ただ、これから世に出していこうとするなら、
まずは自分の中で、なるべく
出来る限り安い値段を・・・。
それは単に「売るため」という意味ではなく
購買層の間口を大きく広げ、絵を気に入ってくれる人が
いた場合、その自分の絵を買ってくれるお客さんを
一人でも多く増やしていく意識というか。。
そして自分の絵のファンが少しづつ増えてゆき、
個展もたくさんの人で賑わうようになってくれば、
そこで、それに応じて、はじめて値段も本来の自分の
じゅうぶん納得いくプライスへと
移行してゆくスタイルがいいと思います、ということ。
どんなことも、最初は
多少の「投資」は必要かなと思うんです。。
けっしてそれは、「自分」を安くすることとも
次元が違うとも思うんです。
極端な例だけど・・・
以前、ワタシの画廊で
「サドゥー展」という若い作家さん達の
合同展を開催したのですけど・・
最終日、3作品売れたんですね。
プライスカードがそれぞれ
作品に付いてなかったため、
(いちおう値段決めてはもらってたけど)
お客さんから問い合わせがあって・・、
各作家さんに聞いてみると
ちょっとワタシ、腰ぬかしたんですけど・・
それぞれ数千円!!
それなりに時間をたっぷりかけないと
描けないであろうデッサンとか・・
コラージュ作品とか・・
しかも額代にもならないような破格値。。
おもわず、「そんなんでいいんですか~^^」
と聞き返してしまったほど。。
でも、気前のいい人ばかりで
「気に入ってくれたらそれで・・。
また作れますし。。」と、
まだまだ始めたばかりですし
ぜんぜんいいですよ~と、そんなラフな感じだった。
なるべく安くって言ってるこのワタシが
逆にビックリしてしまうそんな出来事でした。。。
でも、偉いなぁ~と思いました。
ただの「物」をオークションとかで
安売りするのとはまた違う世界ですから。
自分も描いてるから
その「思い入れ」とか「手放したくない」とか
いう気持ちもあることが、すごくわかるし・・。
でも、あえて手放していくというか。。
特に上記の例は、すごい若い人たちの合同展で、
お客さんもその友達たちや仲間やら
同じく若い人達だから、そうした雰囲気にも
なるのだけど、
ある意味、こうした気軽な感じで
絵が売り買いされ、若い世代に
「アート」が広がるのは嬉しい気がする。
ちなみに、このワタシのエピソード、、
もう何年も昔になるのだけど、
とあるギャラリーにふらり入り・・
若い20代前半の画家さんの個展(正確には二人展)
を観たときのこと。
数点のポストカードのような小品や
一部の小さなクラフト作品には
値段ついて飾られてたのだけど
一点値段のついてない
わりと大きな作品(絵)があった。
その絵にすごく心惹かれ、
そこにいた画家さんに聞いてみると
「あ、これは友達のほうの作品で・・
明日来ます。。。」ってことで、
翌日、もう一度遊びににいった。。
そしてその画家さんといろいろ話していて・・
「ちなみに、この絵はおいくらで・・」と
聞いてみた。。
すると「すみません・・じつは、これ・・
このたび学校をでて、初めて県展で
大賞をとった作品で、記念のものなんです。。
なので販売するつもりはなく・・すみません・・」
ということだった。。
僕も「それは大事ですね。わかりました^^」と了解。
いったんそれで話しは終わった。
ちなみにギャラリーはカフェが併設で
いつも行くカフェだったので、
翌日、またお会いした・・。
すると彼女、その夜、自分の父に
「こんなに絵を気に入ってもらえる人がいて
・・」というような個展でのその出来事を
話したという。ちなみに彼女の父は有名な日本画家。
すると父はこういったと言う。
「絵を始めたばかりで・・まだまだこれから
もっと成長して、いくらでも素晴らしい作品を
描いていける。また描いていかなければいけない。
今からすでに描いたものにとらわれず、
さらなる高みを目指してゆくべき。
せっかくそんなに絵を気にいってくれる方が
いたのなら、逆に喜んで売るべきである。」
というような事を言われたらしく・・・で、
「そんなわけで、ワタシもしごくもっともだと
思い、気持ちがすっかり変わりました。
今はほんとに買っていただいていいと思ってます。。
ただ、値段どうしていいかもわからず・・
言ってください^^」などという。。
「いや、決めてください。。。」
「それでは、いちおうは、父とも相談はしたのですが・・
あの~・・・・」と来たから
僕もそれなりの値段は承知していた。。
「額代の3倍ということでいいでしょうか・・」
ということだった。聞けば1万円台の額である・・
あまりに破格すぎる・・・
でも売ってもらいましたけど^^。。。
とはいえ、彼女も
とりたてて、3万~4万のお金が
欲しかったわけではない。。
逆にそれくらいならもっておきたい・・
という気持ちもあったと思う。。
後年、自分も絵を売り始めて・・・
実際に同じ気持ちを体験している。
(本格的な販売は去年からだけど)
別にとりたてて3万円ほしくなくても、
でも思いきりありがたくて、
それでいて少しせつなくて・・
まぁもう馴れたけど^^。
というか、上記に書いたような内容で
すでに割り切っているわけですが・・・。
絵の値段の世界・・・
通常の「物」と違って
いろんな心情が混じっております・・・。

ではまた~♪