脂質の摂り方 | 自然治癒力研究所のブログ

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本当の日本を取り戻すメール新聞からの抜粋です。

 

近年増加している癌や糖尿病、アレルギー、アルツハイマー型認知症などの根底には慢性炎症があり、そこには脂質の摂り方が影響していると言われています。

脂質は全身37兆個とも言われるすべての細胞膜を構成し、更に、細胞膜を構成している一部の脂肪酸からは、ホルモンのような物質(脂質メディエーター)がつくられ、全身を調整しています。

 

 

私たちが日々食べている食品の脂質には、約20種類ほどの「脂肪酸」が含まれます。

その中で、特に炎症に関係しているのが、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸です。

 

オメガ6の代表的な脂肪酸は、サラダ油や加工食品に多く含まれるリノール酸、動物性脂肪に含まれるアラキドン酸です。

オメガ3の代表的な脂肪酸は、亜麻仁油やえごま油に含まれるα-リノレン酸、魚類に含まれるEPA、DHAです。

 

前述のホルモン様物質である脂質メディエーターは、オメガ6のアラキドン酸とオメガ3のEPA、DHAから作られます。

オメガ6のアラキドン酸からは、炎症を起こしたり血液を固める脂質メディエーターが作られ、オメガ3のEPA、DHAからは炎症を抑制または収束させたり、血液を固まらなくする脂質メディエーターがつくられます。

 

オメガ6とオメガ3は、互いに相反する働きをしながら、体の恒常性を維持しているのです。

 

そのため、オメガ6が多くオメガ3が少ない状態に傾くと、炎症を起こしやすいうえに起こした炎症を止める力が弱まり、過剰な炎症が起きたり、炎症が慢性化してしまうのです。

このことから、「悪玉脂肪酸」と呼ばれることもありますが、そうではありません。

炎症を起こしたり血液を固めることは、正常な免疫反応の一つです。

 

例えば、外から細菌などの異物が入ってきた時に、体は炎症を起こして戦います。

また、外傷を負った時は、出血を抑えるために、血液を固めて対処します。

 

近年の研究では、オメガ6が少なすぎると、免疫の最前線で働くIgA抗体の産生が低下してしまうことも分かっています。

オメガ6のアラキドン酸は免疫反応の初期に働き、私たちの体を守ってくれる、とても大事な脂肪酸なのです。

 

問題なのは、起こした炎症を終わらせることが出来ない状態です。

私たちの体は、炎症を起こして戦い終わった後には、速やかに炎症反応を終わらせて、元の状態を取り戻し、恒常性を維持しています。

 

この、免疫反応の後期で炎症を収束させるのが、オメガ3のEPA、DHAからつくられる脂質メディエーターです。

オメガ6のアラキドン酸で炎症を起こして戦い、戦い終わったらオメガ3のEPA、DHAで炎症を終わらせ、組織を修復させて元の状態に戻す。

この一連の流れで、私たちは恒常性を維持することが出来るのです。

 

しかしながら、現代食はオメガ6が多く、オメガ3が少ない状況にあり、意識して摂取する脂質を選ばないとオメガ6が過剰になってしまいます。

本来重要な働きのオメガ6ですが、過剰になると慢性炎症を引き起こします。

 

慢性炎症は、動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な疾患をはじめ、がんや糖尿病、アレルギー、大腸炎、アルツハイマー型認知症など様々なリスクを高めるため炎症を速やかに終わらせることが、健康を保つためにはとても重要です。

 

では、オメガ6とオメガ3は、どのようなバランスが望ましいのでしょうか?

日本の食事摂取基準では、オメガ6とオメガ3の摂取量をそれぞれ量で表していて、性別・年齢によって若干異なりますが、概ねオメガ6:オメガ3=4:1ほどになります。

ただ、食事摂取基準というのは現在の日本人の食事調査から導き出したものであり、必ずしも理想値ではありません。

 

では、理想的なバランスはどのくらいなのでしょうか?

オメガ6:オメガ3の比率より、更に炎症や動脈硬化の状態を表す指標として、オメガ6のアラキドン酸(AA):オメガ3のEPAの比率があります。

様々な研究報告から、オメガ6:オメガ3またはアラキドン酸:E P A=2:1~1:1望ましいとされています。

 

日本の大規模研究でも、オメガ6のアラキドン酸とオメガ3のEPAとの比率(EPA/AA)と心血管系疾患、癌の関係を調べた結果、EPA/AA=0.5以上でリスクが下がるという報告があります。

EPA/AA=0.5というのは、AA:EPA=2:1ということです。

 

ちなみに、67年前の1955年の日本人の平均値はEPA/AA=1.030年前ほど前の1990年代の平均値はEPA/AA=0.6でした。

それが、食の欧米化に伴い、徐々に調理油の量が増えたり、魚食から肉食が増えたことにより、現在ではEPA/AA=0.3程になっています。

更に、若年層ほど低く、10歳代ではEPA/AA=0.1程です。

 

これは例えると、炎症を起こす力が10あって、それを終わらせる力が1しかない状態と言えます。

この状態では、過剰炎症や炎症の慢性化が起こりやすく、慢性炎症による疾患も増えてしまいます。

 

私が代表を務める日本リポニュートリション協会では、血液中の脂肪酸バランスを測る「体内脂肪酸検査」を実施していて、現在約1,000人のデータがあり、EPA/AA=0.4程です。

平均としては、それほど低い値ではないのですが、1,000人のデータを見て分かったのは、個人差が非常に大きいということです。

まんべんなく0.4に近いのではなく、0.1の人もいれば2.0の人もいる、という状態なのです。

この検査値は食べた割合がほぼそのまま現れます。

 

EPAの接種源はほぼ100%に近いぐらい魚介類由来なので、魚を日常的に食べない人はEPAが低くなります。

オメガ3系のえごま油や亜麻仁油に含まれるα-リノレン酸は、体内で一部がEPAに変換されるので、魚を食べなくてもEPAが高まる場合がありますが、この代謝も遺伝的・環境的に個人差が大きく、亜麻仁油を毎日食べていてもEPAが上がらない人もいます。

また、肉類や加工食品が多い人は、アラキドン酸が高い傾向があります。

 

一例として、朝はパンにマーガリン、お昼はラーメン、夜はハンバーグ、のような食事が日常食で、魚もオメガ3系オイルも摂っていない場合は、EPA/AA=0.1ぐらいになってしまいます。

 

では、EPA/AA比を目標値である0.5以上に上げるにはどうしたら良いのでしょうか?

先述したように、30年前は平均で0.6だったのです。

 

本来日本食は、調理にあまり油を使わなかったことや、魚をよく食べることから、世界的に見ても、脂肪酸バランスがとても良い国でした。

それが崩れてきたのはここ50年ほどのこと。

脂肪酸バランスを整えるヒントは、それ以前の日本の食事にあります。

 

まずは調理法を見直し、揚げる・炒める調理を減らして、煮る・蒸す・茹でる調理法を増やすこと、

お肉の回数を減らし、お魚を増やすこと、主食はパンやパスタをお米に変えること、調理油として使用している油がオメガ6豊富なサラダ油などの場合、使用量を控えるか、オリーブオイルなどのオメガ9系に変えること。

これで体の中の脂肪酸バランスはかなり整います。

 

食べる脂肪酸が変わると、細胞が変わり、体全体が変わります。

健康と美しさのために、ぜひ日々のお食事の中で脂質を意識してみてください。

 

一般社団法人日本リポニュートリション協会 代表理事 地曳直子

 

 

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