筋肉の老化というのは、加齢とともに誰にでも間違いなく起こってしまう、ほぼ避けられないことです。
これまでの研究によれば、生涯にわたる筋肉量の減り具合の中央値は、男性で1年あたり0.47%、女性で1年あたり0.37%であることが報告されています。
1年の減り具合ということでいえば僅かかもしれませんが、確実に筋肉量は減っていくのです。
さらに75歳以上に対象を絞ってみると、男性で1年あたり0.80~0.98%、女性で0.64~0.7%筋肉量は減っていくと報告されていて、高齢になるとさらに減り方が大きくなるという事実が見えてきます。
これが、さらに体を動かさないとどうなるか。
例えば、けがや病気により10日間ベッド上で過ごすと、たったの10日でも筋肉量はなんと平均約1kgも減少するというデータがあります。
平均的な男性での筋肉量をだいたい20kgとすれば、10日で5%の筋肉を失うということになります。
これを先の1年あたりの筋肉量の減り具合のデータと比較してみると、ちょうど約1年分にあたることが分かります。
体を動かさないと、それほど早く筋肉量というのは減っていくのです。
また別の研究で、筋肉を使っていないと1日あたり0.3%から最大4%ほどまで筋力が減少していくということを示した報告もあります。
筋肉の量だけでなく筋力も実際にこれほどのスピードで落ちていってしまうのです。
このように、体を動かさない生活をしていると、人が1年間かけて失っていく筋肉量をものの数日で失うことができてしまいます。
逆に言えば、日頃から体を動かすことは、筋肉の老化を防ぐためにそれほど大切だということがわかります。
使わないことで起こる筋肉の萎縮は、医学用語では「廃用性筋萎縮」と呼ばれています。
この廃用性筋萎縮は予防ができるにもかかわらず、非常に多くの人を寝たきりに至らせている、高齢化社会を迎える日本において見過ごせない大きな課題の一つです。
この廃用性筋萎縮は少しずつ蓄積し、筋力が弱っていくにつれて加速度的に進行していくことになります。
加齢とともに、筋力の回復が遅くなるため、一度進んだ廃用をなかなか取り戻せなくなるのです。
そうなると、ますます動けなくなり、筋肉の萎縮が進むという悪循環に陥ります。
日頃から体を動かすこと、そして予防できる病気は未然に予防する取り組みが筋肉の老化を避けるための鍵になるということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
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