サツマイモ掘りの後、今度は、「ももたろう」の絵本で、「おじいさんは、やまへしばかりに」と書いていることや、桃太郎も柴刈りに行っていたことを見ました。
この柴というのは、細い木や枝などのことで、昔は、それを燃やしてご飯を炊いていたこと、部屋を暖めるのにも使っていたこと、また、田畑に漉き込んで肥料にも使われていたとお話を聞きました。柴なしには生活ができなかったのですね。
その生活に欠かせない柴を里山に取りに行くのが、「おじいさんは、山へ 柴刈りに」だったのです。
その柴を山でとって、運んでくるために作られた道具が「背負子」でした。
Aさんが用意してきた写真などを見せて説明してくれました。
もう一つの運ぶ道具が、「おいそ」でした。おいそを作ってくれたTさんやAさん、Iさんが実際に使い方をやって見せてくれました。
この大切な柴を自分たちもおじいさんのように取りに行ってみましょう!
子どもはもちろん、大人も体験したことのない活動です。
NCEGは、実際に体験してまなびます。
そして、本当に理解できるようにするのです。
みんなで背負子やおいそを持って山へ柴取りに行きます。
こんな活動を通して学び取っていることは、数え切れません。
単に「山へ柴刈りに」の理解だけにとどまりません。
大きいお兄ちゃんたちを先頭に林の中の柴の取れそうところまで来ました。
小さい子どもも、なんとかしようとがんばれました!
山には、木の枝などがたくさん落ちていました。
山の斜面になっている林の中のやや開けたところに、柴がたくさん落ちているところがあり、そこで柴取りをすることにしました。
おとうさんやおかあさんにも協力してもらいながら集めます。
さあ、これでいいね~
集めた柴は、いったん、束にして背負子や「おいそ」で背負いました。
どんな小さな子もみんなと同じように「やりたいっ!」のです。
背負うととても楽に運べます。
道具のすばらしさなども言葉には表しませんが、子どもたちも実感しているのです。
不慣れなことであっても、意欲が越えさせてくれ、自分への自信となっていきます。
大きい子(年長~小3)は、力強い足取りで
たくさんの柴を集められたようです。
そして、山道まで下りてきました。
もう、nagomi garden が見えます。
坂道を下ります。あの柴取りの斜面を上り下りしたので、この急な坂などはなんてことはないようです。
初めての大変な作業だったはずなのに、
だれひとり、泣き言は言いません。ふしぎですね。
顔が輝いているのです。 何かが変わった感じ・・・・
nagomi に着きました。
暑かったようです。「のどが渇いた~」
柴置き場に下ろします。
やりとげた!
子どもたちみんなで運んだ柴(右側)
~一息、一息~。
早速、自分の取ってきた柴を持ち寄り、たき火をすることにしました。
たき火の説明を聞いています。
“nagomiに来る子どもたちの集中力って、こわいくらいです。
いつも、話しているとそうおもいます。”
今日は、時間がなくて自分でたき火はできていません。
今日掘ったサツマイモで次はたき火をして、焼き芋にも挑戦しましょう!
おじいさんの刈ってきた柴も、こんなふうに使われていたのでしょうね。
火を囲みながらみんなで朝から用意していた焼き芋をもらって
あたたかいね~
こんな大きいのもらったよ~
食べました。
おいしいねっ!!!
焼き芋を食べていると、NさんとYさんが次のNCEGの活動を紹介してくれました。
「nature craft・リース作り」
つづいて、来月は、お正月に向けて
しめ縄づくりや、門松づくりをするんだって。
TKさんが干し柿も見せながらお話ししてくれました。
▶今回のこの企画は、子育ての話をしていた時に、あるお母さんが
「昔話にでてくる『おじいさんは、山へシバ刈りに』のシバって、芝生のシバ?」と、普段、疑
問に思っていたことを話してくれたことがきっかけでした。
その後、他のお母さんにもこのことを確かめると、同じような疑問を持っているということがわかり、それでは、親子一緒に直接体験してそれらを正しく理解できるようにしようと計画したものでした。それら=「柴」とは?「柴刈りをする」ってどんな労働なのか?
柴刈りを体験しようと思えば、挿絵などにも描かれている「背負子」を使いたいと思いました。背負子が手に入らないか、いろいろな人に尋ねました。なかなか、うまくいきませんでしたが、年配の方の中に龍神出身のRYさんがいて、その方が龍神の知り合いに連絡を入れてくださって、現役の背負子を貸してもらえることになったのです。
その背負子を借りに行くと期待していた通りに+αのお話が聞けました。
それは、背負子よりももっと手軽に使うものとして「おいそ」があるということ。そのおいそは、約5mほどの幅と厚みのある紐でした。ふだんは、それを使って柴などを背負って来るのだということでした。
(※龍神では、お盆になるとこの背負子を使って山に入り、亡くなった方を迎えるための仮屋をつくるために竹やヒノキなどを取ってくる風習が残っているのです)
そういう、さまざまな経緯も経ての今回のイベントでした。
約1か月以上前から取り組みが始まりました。(取り組むスタッフも、多くのことを学べています)
借りてきた背負子を見ながら、自分たちでも作りました。
作り手を呼び掛けたところ、遠く新宮のご実家のお父さんの協力も得られるようにしてくださったケースも含め、Tさん、Aさん、W、それにYさんのお父さん、全部で7つの背負子を作りました。
Tさんは、子どもたちが担ぐのだからと、見本の背負子よりも小型のものを作ってくださいました。
Aさんは、大変精密に見事な背負子を作ってくれました。
新宮のYさんのお父さんは、「軽くて、丈夫な背負子を」と竹を使って作ってくれました。
山で暮らしている人ならではのとても美しい背負子を送ってきてくださったのです。
おいそは、たくさんの布が必要でした。この布は、Iさんが、ご実家のメリヤス工場で使わなくなった布を提供してくださいました。そのおかげで16本ものお「おいそ」が完成しました。Tさん宅の動力ミシンを使わせていただき、連日、IさんやAさんが、活動してくれたのです。
この提供してくださった布は、背負子の肩紐にもなりました。
初め、背負子の肩紐をどうしようかと思案し、使わなくなったリュックの提供をお願いしました。しかし、この布を使えば肩紐も作れるのではないかということになりました。
草鞋を編む要領で布をひも状に切って編み込み、肩にやさしいベルトができました。やり方は知っていたのですが、実際に編むのは初めてのことでした。このベルト作りには、さらに、NYさん、NKさん、Yさんも参加しました。
この編む作業をするときには、紐を固定する必要があるのですが、これにはAさんが「背負子肩紐引っ掛け器」なるものをすぐに作ってくださって、はかどりました。
おとなも、sense of wonder が大切なのですね。
今回、わからないこと、あいまいなこと、不明なことを
①そのままにしないで
②口にし、みんなの前に出した
③それを本当に理解できるよう、体験活動として計画した
「シバかりって?」の疑問を持っていた人だけでなく、みんなにも呼び掛け、NCEGのイベントとして実施しました。
幼少期の知識や理解、技術は、直接体験することを通して学び取る
のが本来の姿であるということを再認識しました。
バーチャルではなく。ほんものを使って本当の体験こそ子どもを大きく育てます。ほんとうにしっかりとした賢い子どもたちになっていくのを実感します。子どもたちは、自信を深めていると思います。
いうまでもなく、これらの活動を実際に支え続けてくれたスタッフの情熱があったればこそです。
自分の子どもの成長だけを考えるのではなく、すべての子どもたちが共に育つことを願ってくれています。
★NCEGのこれまでにはなかった新しいかたちの取り組みでした。今後、この領域での取り組みも、さらにみんなの力で広げられるかもしれません。~たのしみ~たのしみ
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