今回のNCEGの流しそうめんをふり返り、成果や課題等々を書きだしておきたいと思います。ここには、この取り組みの中で私たちが得た多様な成果や教訓が詰まっています。特に子育てや教育上、学び取るべきポイントをここから汲みつくす必要があると思います。
全国各地で、こうした自然や文化が次世代に受け継がれていくための努力や取り組みが広がることを願っています。

=2015 NCEG 流しそうめん 総括=
経過と結果
~8/7
連日、nagomigardenや畑のメインストリートの草引き、清掃などをスタッフが取り組んだ。
◎日覆い
8/7
器づくり
8/8
流しそうめんの設営
竹きり・運びだし・曲がった部分の切り落とし・竹割り・節抜き・連結(脚立&3本竹)
33名参加
8/9
流しそうめん大会
51名参加
総延長 30m
約百束のそうめん
水量 スチールタンク282l ポリタンク122l
氷 2貫
NCEGの旗
新会員 2名
新スタッフ 1名

◎私たちが目標としている「流しそうめんを行うために必要な全行程を子どもから大人まで全員で体験し、この文化を継承するために必要な力をつける」という内容で取り組めた。

◎誠実に何事にも臨めるスタッフの優れた人柄がこのイベントの質を高め、成功させた。

・両日で33+51名の参加があったが、これ以上の規模になると体験が難しくなるのではないだろうか。この地に昔から住む方々の参加はなかった。
・スタッフは女性が多いがその夫君が協力的でイベント当日はスタッフとして大きな貢献をしてもらえた。
・様々な物品がスタッフから提供され、本イベントは実施できた。
・子どもたち、若いお母さん方が未体験の竹切り、竹割り、節抜きなどの活動を意欲的に行い、ノコギリ、鉈(なた)、ハンマー、ノミなどの道具を使いこなす第一歩を踏み出せた。
・昨年度の門松作りから竹にふれる活動を経験してきた子どもは、今回の一連の活動に対し、自信を持って臨めていた(N君&Hさん)
・「流しそうめんをしてもらった」というのではなく、「流しそうめんを自分自身、みんなと一緒に設営し、そして楽しめた」という思いを刻んだ人がたくさん生まれた。
・子どもがノミを使うなど「危なくないの?」という意見があるが、何でも危ないからと経験させないのではなくて、使い方を大人が説明して、大人がそばで見守りながら、子どもたちに経験させることこそが、とても大切なことである。
・目を輝かせ、生き生きと活動する姿を見て、子どもは何をこそ求めているかに気づかされた気がする。
・道具の使い方ひとつで全く出来ていくモノに違いが現れるという手作業の本質や素晴らしさを体験的に理解できた。
・軽トラ、ポンプ、スチールタンクがあるので飲料水のないnagomigardenにおいても、流しそうめんなども実施できることが分かった。
▸▸親子、家族などの人間関係
・『追いかけてもすくえないそうめん→箸でそうめんを堰き止める→箸に引っかかった麺を竹の縁に掛け、流れて過ぎていかないようにして落ち着いて食べる』そのことを誰に教えてもらうのでなく子どもたちは工夫して見出していった。子どもが自分でそうした工夫をする機会を保障し、そうした力を身につけていける、あるべき親子の関係・距離感がそこに見られた。
・他人の先頭に立って、重くて長い竹を運び出した父親を見た子どもは「お父さんカッコいい」と、これまでとは違った眼差しを向けるようになった。また、自分の子どもの活動する姿に普段は見られない面を見出せた親は、我が子の可能性に感動していた。
・流しそうめんを終えて帰ってから、そうめんを食べた時の話、道具を使った話など、世代を越えての会話が弾んだ。
・初めて会った人どうしなのに自然と会話が交わされ、大人自身も普段、見られない面が引き出されていた。
・原体験~竹を流れる水とそうめんがなんとも涼やかで印象に残った。

~ラインを使うことでスタッフどうしのコミュニケーションが深まり、また、活動の状況を絶えず伝え合うことができ、個々の力が生き生きと引き出されたのではないだろうか。全員が揃うことの困難なスタッフ会議の内容を即座に伝えられ、また、会議以後、見つかるこまごまとした課題にも随時、ラインを通して解決を図りながら、進めて来れた。スタッフ全員が一堂に会議に臨めないNCEGには、まことにありがたい通信手段である~

〇発展
・竹を使って~靴べら、弓、風鈴
・今回使った道具でのモノづくり
・自分の家族などで流しそうめんをやってみようという機運がすでに盛り上がっている。
〇来年への提言
・参加者は今回の約60名が限度ではないか
・文化を掘り起こし、それらを継承する知識や技術を親子で獲得するという目的をより鮮明にして来年も取り組みたい。
・開催日時~お盆前にするのはどうなのだろうか?
・器も、参加者自身が作れるプランにする。
・nagomi通路上の日覆いは、5×5シートを2枚つなぐといい。
・流し担当の頭上にも日覆いを
・氷の増量~温くもなく冷たくもなしだった
・スチールタンクの水漏れ修理
・ポンプの出水量調整
・支えは、脚立、3本竹の併用でいいか?
・水の補充は、ポリタンク&運搬用の車で対応
・薬味の栽培;ネギ、ミョウガ、シソなど
・そうめん以外にも流れやすいものを加えよう

・活動に参加した方々の感想や絵などをもらえるようにしておきたい。
・今後もこうした伝統的な行事・文化の掘り起こしに取り組み続けたい。
・自然と人間のつながり、先人の築いてくれら文化と今を生きる私たちのあるべき生き方について、考えていきたい。
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【流しそうめんの教育学】
・五感~流れて来るものを追視する
・目と手の協応
・手指の巧緻性
・竹藪に入るという体験
・竹を選ぶ~手で太さを確かめ、真っ直ぐかどうか見上げて
・竹を切る~音、ノコギリから伝わる振動、匂い、傾き、挟まって動かなくなる、反対側からの切り口をつながらない
・竹を運ぶ~持ち上げる・引っ張る・引き出す・引きずる・曲がり角を曲がる
・竹の曲がりを吟味する~ゆっくり回しながら
・竹割り~鉈を真ん中に打ち込む・鉄棒をさす・引きながら割っていく・端を石に打ちつけながら
・節抜き~金槌で叩いて砕く・竹肌を傷つけないようにして。ノミで局面に沿って削り取っていく+指で削れ具合を見ながら
・連結~レベルを調べながら
・集中力~道具を使っている時、節を抜く時、そうめんをとるとき、トマトなどをつかむとき
・工夫~そうめんを取るために縁に引っ掛けて
・脳の新しい発達~順手と逆手を学び取った
流れて来るものを待つ→箸で追いかける→後追いするもいってしまう
~そこで~
流れて来るものを待つ←箸で止めるor逆に迎えてすくいとる

・語彙
「流しそうめん」「ノコギリ」「金槌」「鉈」「ノミ」「節」「節を抜く」「竹を運ぶ」「竹を運び出す」などなどを実体験しながら獲得していった

以上です。