2014年最初の例会が開かれました。

今回は、初めて道徳教育の実践報告から学びあうことができました。

「思いやり」を育てることを目標に取り組まれたものでした。読み物教材を通しての学習だけでなく、市の「認知症サポーター養成講座」、高齢者施設、読み聞かせの会、保護者等地域ととても緊密に連携した大きな流れのある実践でした。

①読み物教材「私も思っていた・・・」

②「認知症サポーター養成講座」

③高齢者施設の認知症のお年寄りとの交流など~。


③については以前から取り組まれてきた施設との交流ではあるが、単に形式的に流れることなく、本当に子どもたち自身が認知症の方と楽しく過ごすにはどうしたらいいのかを考え、実践していくというものでした。

1回目の訪問は、自己紹介やお話をしようとしました。そこから、もっと楽しい時間を過ごせるようにしていくにはどうしたらいいのかをグループごとに考えあい、2回目の訪問で、自分たちで用意した遊びをお年寄りと一緒にしました。

相手の立場に立った自分たちの工夫が、お年寄りの表情を変え、心のコミュニケーションが得られていることを子どもたちは実感していきます。


 そうした子どもたちの変化がその後の生活にも現れ、保護者からも反響が寄せられました。また、子どもたち自身、お年寄りが喜んでくれたことが思いやりを持って人と接する事の嬉しさとして受けとめられていきました。


報告を受けて、みんなで話し合いました。


・道徳の授業をどうしたらいいものか、いつも自信がなかったが、このような取り組みは、本当に子どもたちを育てる道徳になっている。


・認知症の人に対して持っている気持ちは、複雑なものがあると考えられる。その本音を引き出しながら、実際にこうした体験を通して、子どもたちが変わっていく取り組みとして、考えていきたい。


・人を思いやるということの大切さは、言うまでもないが、この認知症という問題は、他人事ではなく、いつか先の自分のこととしてとらえさせたい事だと思った。




・道徳教育は、他の教科と同じように子どもたちに身につけさせたい目標を設定し、どう取り組んでいけばいいのかを考えていけばいいのではないか。


・系統だった年齢にふさわしい目標をもっと、全校で取り組めるようにしていきたい。また、学期ごとにもより具体的な目標を持って、積み上げを計っていきたい。


・道徳の授業の時間だけでなく、つねに本音を出せる学級づくりを行っていることが前提になる。本音を語り合える中にこそ、子どもたちの今ある生の姿が見えるのであり、その中にこそ教育活動が成り立つのだと思う。



《つぶやき》

認知症の方と向き合って共に暮らす。それが自分の家庭であれ、地域であれ、私たちの現代がそうなのだ。学生時代にこうした施設を訪れ、実際に認知症の方と数日間ではあるが、向き合う経験をした若い先生の話や、実際に、介護士としての資格を持っている方の発言を聞きながら、自分が、こうした問題を他人事として見ていたことを実感した。本当に認知症の方を自分の中に受け入れ、共に今を暮らしているという現代人の一人にならなければならないのだ。そうしてこそ、こういう課題に初めて子どもたちとともに向き合うこと、向き合わせられる教育関係者になれるという事に気づいた。

認知症の問題は、いつか先の自分のことなのだという事を、深く噛みしめながら自分をもっと厳しく高めていきたいと思う。まず、自己変革こそ必要とされている。