まず、教科書を一通り読んで、感想を出し合いました。
「この『ふりこ』って、子どもたちの生活の中に体験となっていることが少ないので、どう授業化していけばいいかなあ」
「実験をするときの、条件を変える部分と、そろえる部分とを厳格に守ることを繰り返し繰り返し強調しているねえ。これまでの他の単元ですでに学び取ってきたことなのに」
「データを取るとか表にまとめるなど、正確に実験するためのノーハウは、大切なことだけれど、その前段にある『ふりこ』への興味・関心をいかにして子どもたちに持たせるか~そこが、教科書では、充分ではないので、工夫する必要がある」
「この教科書の通りに授業を進めたら、子どもたちの思考がついていかないままに、ただ、実験のスキルの授業になってしまう心配があるからね~」
そこで、「子どもたちが、学ぼうという気持ちがわいてくるように、どうしたらいいか」を視点にして、授業の在り様を検討する事になりました。
実験をするときの順番は、教科書のように振り子の長さから比較するというのではなく、子どもたちが考えた順に実験をしていった方がいいと思う。その方が自然な流れだし、子どもが主体となる学習という意味でも大事なことだ。
★いろいろな振り子でまず、子どもたちが遊ぶところから入ったらどうだろう?そうすることから、子どもたちが気づいた点を取り上げていって、授業を展開していけないだろうか?
振り子というものになじみの薄い子どもたちに、まず、振り子を提示するところから入るわけだが、その場合、大仕掛けな振り子である方が子どもたちには、分かり易いと思う。
①子どもたちに振り子を見せること
②子どもたちが振り子で自由に遊ぶこと
③子どもたちが振り子を自分で作って、お互いの振り子を見せ合って楽しむこと
④そういう活動の中から、子どもたちが振り子について気づいたことが出し合えるようになるし、さらに、調べてみたい事が出せるようになる
※実験結果を言葉にして、交流しあえる場を大切にすることで、子どもたちの「表現」を育てることも大切にしていきたい。
授業全体の展開としては、
各自で予想をノートに書く
予想を出し合って、整理する
予想間の話し合いをする
実験で確かめる内容を相談する
実験方法を考える
実験する
実験結果をノートにまとめる
結果を出し合い、分かったことを確認する
(さらに、実験で確かめたい事がないか~)
こういう流れで、授業を組んでいったらどうだろうという事になりました。
また、実験で正確な結果を出していけるように
A、糸ではなくて、導線を使った方が伸び縮みを極力抑えられる
B、支点がずれない工夫がいる
C、重りの重心がずれないように高ナットとボルトを組み合わせて重りを作るなどの工夫も必要かも~
私たちは、いつも、『この学習をする前と後で、子どもたちの自然現象をとらえる目が変わっていなくてはいけない』『学習をした後では、一段高い見え方ができるようになっている』といえるように理科の授業に臨まなくてはならない。
しかし、この「ふりこ」では、子どもたちの生活とのつながりがうすいためにそうした振り返りがむずかしい単元であるということも話し合いの中で出されました。この視点は、教科書の内容、あり方はどうあるべきかを考えるうえで重要なことだと思います。
~かつて、振り子時計が人々の暮らしの時刻を刻んでいたころなら、振り子の長さを調節して、針の進み具合を調節するのが日常であった。その頃ならば、「ああっ、そういうことだったのか」と、日々、体験していたことへの科学的な意味づけができ、どんなに生きた学習として子どもたちは学べたことだろうかと思う~
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NCEGの例会で、教材研究を取り上げたのは初めてのことでしたが、みんなで「子どもたちが楽しく意欲的に学んでいけるような授業」という共通の視点を持って、授業を検討しあうことによって、大変意味のある話し合いができました。初め、何か『このままじゃなあ』ともやもやしていた気分が、みんなで話し合うことで、「楽しい授業になりそうだ」というわくわくした気分に変わって会を終わりました。また、この授業の結果は、6月例会で報告されることになっています。
マネージメントしてくださったN小学校のFさん、Sさん、ありがとうございました。
夜9時過ぎ、例会を終えて、外に出てみると、辺りは真っ白に雪が積もっていました!子どもたちが生き生きと活動する楽しい授業を目に浮かべながら、みなさん、それぞれ帰路につきました。