親子で野外へ~目が輝いて~日曜日、親子が野外で活動するのに同行しました。子どもが健やかに育つうえで、体験がどんなに大切なのかを実感しました。 ムクロジの実を拾おうと境内に入りました。真っ先に見つけたのは、なんと舞殿の床下でした!!大人には、見えないところが見えています。実を拾いながらも、実だけ拾うのではなく、ダンゴムシを見つけたり、アリを見つけたり~次々と、他の生き物をも見つけて、「あっ、ダンゴムシ~」と、手に採って見ています。子どもにとっては、ムクロジの実以外のものも、同じように惹きつけられる興味ある対象なのですから当然ですね。それに、大人と異なる目の高さも、子どもの特徴ですね。 ムクロジの大木の下で、ゴキブリやゴマダラカミキリも見つけました。カマキリやショウリョウバッタの幼虫もいました。そうそう、テントウムシの羽化した跡も目ざとく見つけます=これは、本で見ていたので、すぐに分かったようです。様々なメディアからの情報を子どもたちも取り入れています。 ナギの葉の特徴を葉を両側に引っ張らせて広葉樹の葉との違いに気づけるようにしたお母さんの働きかけは見事でした。ビワの色づいた実を見つけたり、大きくて波を打っている葉を触ったり~。こうした周りの大人が介入して得た経験も含めて、その子自身の原体験となっていくのです。 畑にも行きました。その道では、ヘビの子どもが用水路をさかのぼっているところに出会いました。イトトンボがシロガネグモの巣にかかっていました。子どもは、素直に興味を示していきます。その子どもの意欲に沿いながら大人も一緒に観察をしていきます。子どものリズムや興味の流れに沿って、どこまでも~ 大人が、ある種の生き物に違和感を示したり、ましてや嫌悪感を見せると子どもは、まともに影響を受け、同じような反応を示すようになってしまい、可能性の芽を摘んでしまうことになります。しかし、この親のように子どもと一緒にどの生物にも普通に興味を示す姿勢でいると、子どもも、素直な気持ちでそれらを見、観察し、言葉で感じたことを率直に表現していきます。 畑では、ジャガイモ掘りをしてみました(土に触れる事への抵抗もこの子は持っていません)。スコップをつかって掘ってみました。初めは、要領が分からず力が有効に働きませんでしたが、何度か繰り返していく中で次第に土を掘れるようになっていきます。体のバランスも、うまくとれていました。ジャガイモの出来は、ひどかったのですが、土の中に見つけるたびに歓び、さらに掘り進む意欲へとつながっていきました。時々、大声で啼く雄鶏の声に驚きながらも、ジャガイモ掘りに熱中していました。 働くときは、今、子ども自身が持っている力や技(たくみさ・器用さ)をフルにつかって取り組めば、取り組むほど、自分への自信となって返ってきます。「あんなことも、こんなことも私はできるんだ!」と。~あまり、便利すぎる道具は達成感が薄れ、よくないですね~ ジャガイモ掘りの後は、カブトムシさがし。切り倒した木を動かすと、その下に掘らなくても、丸々太った幼虫が見えました。「持って帰ったらおじいちゃん、きっと喜ぶ」と、とてもうれしそうに採り上げました。自分を愛してくれる人々がこの子は、常に感じられている。この子は、優しい人々の中にいる安心感に包まれて暮らしているのです。 水辺のビオトープで、アサザの花を見、食虫植物のタヌキモの耳かきのような小さな黄色の花がユーモラスに、にょきにょき水面に突き出ているのを見た後、帰りました。 子どもが自然の中で生物を見つけたり、触ったり、また、労働の原形を体験したりすることが、子どもが生来、持っている能力を引き出していきます。そして、そうした体験が継続的に行われていくと、その子の技術になったり、知識となるのです。 こうした活動を楽しめる支えになっているのは、健康なこころとからだです。その年齢に見合ったしなやかさと強さを備えた体に育っていることが、重要です。普段の子どもの生活が、それらを育むように構成されていることが何よりも大切です。家庭生活・幼稚園や保育所での生活・それ以外=自然や社会を体験する生活など、それぞれがどういう内容で満たされているかということが大切です。 適切な働きかけのできる親と一緒に子どもが、野外活動をすることで、子どもはこころやからだを大きく成長させていけることを、この親子の2時間半ほどの活動の中に、見ることができたと思いました。 私たちNCEGは、すべての子どもたちがこうした暮らしの中で育つことを切に願っています。そのために、まず、子どもに関わる親や教員がこの会に参加し、子どもたちの暮らしを見つめ直し、必要な労働や体験ができる暮らしの中で子どもたちが育てていけるように、力を合わせることを目指しているのです。