これまでの技能実習は、いわば「最低賃金で3年間縛り付けるシステム」だったため、評価制度も賃金体系も必要ありませんでした。しかし、育成就労で「本人意向の転籍」が解禁されたことで、構造が根本から変わりました。

 

「頑張っても給料が変わらない」なら、1〜2年で確実に転籍される時が目の前に来ています。

他社や都市部の企業は、高い求人を出して引き抜きをかけます。自社に「どのような技能を身につけ、日本語を覚えれば、給料がいくら上がるのか」という明確な評価基準がなければ、真面目な優秀層から順番に他社へ流出します。

大手シンクタンクの作った制度は、中小零細の現場では「絶対に使えない」

大手が導入する立派な評価制度は、評価を書く中間管理職の層が厚いことを前提としています。

経営者と現場の職長しかいない中小零細企業にそんな分厚い評価シートを持ち込んでも、職長が「面倒くさくて書いていられない」と投げ出し、結局形骸化して崩壊します。

中小零細企業の賃金体系づくりで一番怖いのは、「転籍を防ぎたい一心で安易に基本給を上げ、企業の財務(粗利)を圧迫して自滅すること」です。

原資(人件費率)を計算した上で、現場の職長が「〇・×」程度で直感的に評価でき、本人のやる気(日本語・安全遵守・技能)と連動する「中小零細専用の身の丈に合った評価・賃金モデル」を作れること。これが育成就労制度開始前にまず初めに取り組んでおく必要がある事案です。