中学生のある年の夏。
転校生が入ってきました。

何となく日が経つにつれ友達間で転校生の話題で盛り上がる事が多くなり本人と仲良くなるのもさほど時間がかかりませんでした。

そんなある日の事。
転校生の彼が金縛りにあったと言う話題で盛り上がりました。
内容は自分が体験するモノとほぼ同じです。
その日は「コワイな」っと言う事で話が終わったのですが…

翌日。
また別の友達が同じ金縛りに…
そしてその二日後もその翌日も…
決まって同じ内容です。
よく話し合ってみてわかった事がありました。

一つは家の近い順になっている事。
もう一つは距離に応じて一日あいたり翌日おきたりしている事。

そして最後の一人まで金縛りは回りパッタリと終わりました。

そして何事もなかったかの様に毎日が過ぎようとしていました。
今回は友人の体験した話。

その日彼は親の言付けで預かった届けものするためバイクで親戚の家まで行っていました。
「まぁゆっくりしていきなさい」
話しは尽きず気が付くとすっかり日が暮れていたそうです。
親戚の家は山道を越えた場所にあるそうで辺りには暗闇が拡がります。
帰るためには比較的明るい回り道。
それと暗闇の山を越える近道。
二通りありました。
近道と回り道には一時間ほどの差があったといいます。
当時ツーリングで山を走りなれていた彼は迷わず近道を選びました。
親戚に挨拶をしバイクで山道へ入ります。


しばらく行くと昨日メンテした筈のライトが少し調子が悪くなったように思えて何度か脇道に停めては調べてみたそうです。
でも何も故障箇所がない。
「変だなぁ」っと思いつつしばらく走り続けているとライトの調子が元に戻ってきた様に思えました。
「気のせいだったのかなぁ」っとホッとしていると…
「危ないよ」
そう耳元で声がしました。
「えっ!?」
慌ててブレーキを踏むと砂利の落ちる音。
バイクの先によーく目をやると、その先には道が無かったと言います。
彼は気を取り戻し少し道を介して結果無事帰宅できたのだそうです。
あれはいったい…
目を覆ってしまうほどのまばゆい光。
…っと、その中に立つ人影。
「!?…女性?」
こちらを見ているようだが逆光で顔が見えない。
「だれ?」
ふいに頭の中に〈何か〉が流れ込んできた。
う"っ
瞬時に引き戻される様に目が覚める。
張り詰めた空気。
一本棒を通されたかのように動かない身体。
自分が寝ていた事に気付くまで僅かながら時間がかかった。


あれからどれほどの時間が過ぎたのだろう。
ふっと撫でられるかのように体の力がぬけた。
我にかえるとひどく冷汗を掻いている。


それが初めての金縛りでした。

幾度となくこんな事が繰り返された子供時代。