この物語はフィクションです。
実在するものとは一切関係ありません。
仮面夫婦【28】
松井は智代と約束した喫茶店で、すっぽかされたかと
考え出すほど待たされた。
『ごめんごめん、遅くなってしもうたわ』
「病棟で、容態の急変した患者でも?」
『違う違う、ここの病院は、師長が師長なら主任も主任
や、申し送りのやり方が下手で、だらだらと』
智代は、松井の前の席に座るとまくし立てる様に言った。
「それやったら、再就職先は村瀬の方が良かったのと違
うの?」
『橋本のいるところなんかに戻りたくないわ。それより橋本
が院長の娘と結婚したなんて、逆玉もええとこやんか』
「ギャフンと言わしてやりたいと、思っているねん」
『松井さんが?』
「俺だけやない。同じ冷や飯を食った医事課のメンバー
と、今でも連絡取り合って作戦練ってる」
『面白そうやん、それ』
「下津さんが、仲間に入ってくれるんやたら百人力やけ
ど」
『橋本をギャフンと言わせるって、わたしは何をすれば良
いの?』
「橋本が、院長の娘婿で、居れんようにするんや」