この物語は
フィクションであり、登場人物等他
実在するものと一切関係ありません。
身勝手な選択【55】
橋本は、小さく頷いたあと
「刑事さんの言われる通りです。わたしも夜が明けぬうちに大阪を出て
白浜に向かいました。しかし、早すぎました。白浜に着いたのが。ボーっと
待っていても仕方がないので、そこから太地まで足を伸ばしたんです」
『白浜から太地までですか?』
「わたしは、車の運転が苦にならない性質でしてね」
『太地まで行かれて、どうされたんです?』
「くじら館に入りましたよ。午前中そこで時間を過ごしました」
高杉は、橋本を見つめながら質問を続けた。
『この写真は?』
「多分、くじら館を出た後あの場所に車を停め、どうしょうかと考えていました」
『何時頃でした?』
橋本は素早く、星野宏美の乗っているバスと出会った直後だからと、時間を
割り出し答えた。
「午後一時過ぎじゃなかったかな」
『そうですか、撮影された方のいう時間と一致していますね』
高杉はここで一息入れたあと質問を続けた。
『くじら館を出た後ですか?その後、くじら館の方へは戻りませんでしたか?』
「いいえ、そのあとすぐに大阪に向かって戻りましたよ」
『それを、どなたか証明してくれる方はいますか?』
「そんな人いませんよ。あっ、いる。あなたたちのお仲間ですよ」
『仲間?』
「途中、周参見でしたか、スピード違反の取り締まりにかかりました」
『周参見町?串本警察ですね。調べればすぐに分かりますよ。間違いありませ
んか』
高杉は、鋭く橋本を見つめた。