傷は浅いぞ | 小劇場クルーズ~この素晴らしき役者たち~

小劇場クルーズ~この素晴らしき役者たち~

最も身近で自由な表現方法である筈の演劇なのに、ごく一部の人々がその恩恵に浴しているだけの現状はとても寂しい。
人知れず才能と輝きを秘めた役者や深い感動をもたらす舞台が、星の瞬きのように次々と光っては消えを繰り返し永遠に忘れられるでは、本当に勿体ない。

 

劇団三日月座「傷は浅いぞ」(於・横浜国立大学第一食堂下共用室3、[三ッ沢上町駅
徒歩16分もしくは横浜駅からバス⑩番乗り場]~ 2017/08/15 (火))を観てきました。

 

 

新人アイドル矢衾愛弓(やぶすまあゆみ)はミュージックステーションのオープニングで鼻血を出してしまう。

スケジュールが真っ白になり気を落とすマネージャー、官兵衛の元にとある番組からのオファーが。

それは新人アイドルたちが様々なゲームでお互いを蹴落としていくゲームバラエティ生放送、「電波ガールズ」からだった!
                                               ~説明文より~

 

 

人気劇団「柿喰う客」2007年初演(?)の中屋敷法仁さんが書いた戯曲を大学生が上演します。

「柿喰う-」では女性3・男性1で演じたようですが、違和感なくハイテンションでグロくて毒のある、それでいて清々しくておバカな好編でした。

本家の洗練されたシャープな切れ味とは違った泥臭くて柔らかい魅力に溢れた演劇的イリュージョンを狭小スペースで堪能できた、とても贅沢な公演でしたね。

面白くて二日連続で足を運んだけど、もっともっと観たかった。

 

周囲の観劇愛好家の方たちもまた、学生公演に立ち返る方が増えているようで、舞台の完成度や演技の巧拙などそれ程重要ではなく、等身大の粗さの中に在るひたむきな熱量に魅力を感じるのでしょう。

スタッフ対応も含め此処の劇団は毎回満足度が高いので、365日観劇漬けのヘビーな演劇ファンから普段馴染みのないビギナーの方までお勧めです。

 

 

左から:長谷川悠二郎さん、振り切った堂々とした演技が心地よい劇団のマドンナで元気キャラがハマリ役・樋口由華さん、義村優さん、三木依音さん