ずーっと神様は暇を持て余していた――。
そして、ジーッと人々を眺めていた。
ある日、天使レミエルを使わし人々にお告げを伝えることにした。
こうしてレミエルは神のぼやき……いやお告げを人々に伝えるために、電話を持って地上界へと降りたのであった。
今日は誰が神のぼやきに付き合わされるのか――。
少年ギル編 第四話

黒い影を倒したものの、相変わらずギルはひとりぼっちだった。
いつものように中庭で一人で遊んでいると、女の子が一人、近寄って来た。
「あなたがギルね? なんかお告げがあって、ここにいる子と仲良くしろだって! でも男の子なんて聞いてなかったから、ごめんね!
ところで、どうしてあなた一人でいるの?」
と女の子が聞いたその時、突如また黒い影が現れた。
ギルはすかさず彼女を後ろにまわし、短剣の一撃で撃退した。慣れたものだった……。
「こいつらがいるから友達が出来ないんだよ。お前も早くどっかいけよ」
すると女の子は、
「あたしイシュタル、ルルって呼んで。あたし強い男の子大好きよ。友達になりましょう!」
ギルは驚き、戸惑った。
そして彼女が手を差し出し、そのしなやかな手がギルの手を握ろうとしたその時、その手には圧倒的な高級感の漂う携帯電話、リンゴのマークのiPhoneが握られていた。
それは神に選ばれた最高の英知。
人類がたどり着くのは、まだ何千年も先の夢のテクノロジー。
隣には、にやりと笑う天使レミエルが立っていた。
ギルと変わらないくらいの年端のいかない、ショートヘアのかわいい少年だった。
でも口は悪い。
「おい、お前、鼻の下伸ばしてんじゃねーよ、神からのお告げだ」
疲れたギルは、またかとため息をついていた。
ギルにはレミエルは見えていなかった。
ただ浮遊する携帯電話と声だけが聞こえていた。
いわゆるお化け状態。
ルルの手は、後でしっかり握ろうと固く心に決め、言われるがまま電話を耳に当てた。
「もしもし。
もし、もーーし。
神やで~」
軽い自己紹介から始まった。
「選択の幅って難しいよな~。
例えばやけど、リンゴの好きな男の子がいました。
そこに小学校からずっと遊んでいる、ブドウ農園の女の子と、リンゴ農園の女の子がいました。
さて今日どっちと遊ぶとなって、リンゴの好きな男の子はリンゴ農園のりんこさんと遊びました。
するとブドウ農園の女の子は『そんな女のどこがいいの?』と、ヤキモチを焼きました。
さて、それならそもそも、その選択が間違ってませんか? と男の子は言いたかったが、女の子を虐めたらあかん!と思って言葉を飲み込みました。
どっちがいいの? という選択って本当は、ほとんどないのに、人間とはなぜ2択にしたがるのか……。
この場合、友達としての友情と、年頃になった女の子の恋心も掛け合わせて判断をしないといけないから、(食料の好み2)× (友情2) ×(恋心2)で8択になるはず。
まあ、あくまで概算でしかないし、状況をさらに分析すれば選択肢は増えるかもしれんが、とりあえずこのくらいで計算をしよう。
――と多分これを言った時点で、女の子から気持ち悪がられる。
そんな不思議な人間の姿をみるにつけ、わしはアダムを土から造ったゆえのことかと考える。
アルミニウムや鉄より構成をしたら、8択くらいあっさりできる生き物になったのだろうか……自分はどう思う?」
「好き嫌いはダメだと思う」
「うん、そやな」
神様のぼやきはこれからも続く。