天降付く天の香具山の風景 | 古代文化研究所

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古代文化には、多くの疑問や問題が存在する。そういうものを日向国から検証していきたい。

○昨日、2020年12月12日に、鹿児島県霧島市福山の中茶屋公園へ出掛け、『天降付く天の香具山の風景』を見て来た。先日、12月8日にも出掛けたのだが、雲が急に出て、見ることができなかった。

  ・テーマ「日向国の万葉学」:ブログ『ダイヤモンド桜島』

  ダイヤモンド桜島 | 古代文化研究所 (ameblo.jp)

○「ダイヤモンド桜島」などと言うのは笑止千万、まるで文化の無い話である。日本では「万葉集」の時代から「天降付く天の香具山」として愛でている風景である。それを「ダイヤモンド桜島」などと言うのでは、驚き呆れるしかない。それもテレビや新聞がこぞって喧伝するのだから、始末に負えない。

○もっとも、そういうテレビや新聞のお陰で、『天降付く天の香具山の風景』が大いに紹介されるのであるから、感謝すべきなのかも知れない。多くの方に、日本には、そういう伝統文化が存在することを知って欲しいものである。

○逆に言うと、、『天降付く天の香具山の風景』が鹿児島県に存在することの意義は大きい。何故なら、鹿児島県が日向国であることを理解している人は、地元であっても、ほとんど居ないからである。鹿児島は薩摩だとか大隅だと言って譲らない。

○それも本当なのだが、薩摩国も大隅国も、もともとは日向国から分かれた国であるに過ぎない。もっと古くは鹿児島のほとんどは日向国だったのである。少なくとも、日向神話の時代は、そうだった。多くの人は、そういうことを忘れている。

○その日向国に、『天降付く天の香具山の風景』が存在することの意義は、大きい。何故なら、香具山は大和三山の一つだからである。つまり、大和地名も、実は日向国のものである。その日向国には、本物の大和三山が屹立している。

○本物の大和三山とは、次の山々を指す。

  ・うねびやま=霧島山:1700m

  ・かぐやま=桜島山:1111m

  ・みみなしやま=開聞岳:924m

○それなら、奈良県橿原市に存在する大和三山は、どうなるのか。あれはレプリカに過ぎない。

  ・畝傍山:199m

  ・香具山:152m

  ・耳成山:140m

判るように、標高200mにも満たない山が国名を冠せられた山だとは考えられない。本物は別にちゃんと存在する。それは信仰の山であって、大和国を代表する風景となっている。

○枕詞「天降付く」が私たちに教えることはそういうことである。これもまた文化そのものである。しかし、満足に「万葉集」も愛読しない者に、枕詞「天降付く」を理解することはできない。文化を本当に享受することは、容易なことではない。

 

○昨日は、晴天で、風も少しあって、絶好の日和であった。これなら間違いないと確信して出掛けた。期待通りの風景を眺めることができた。それはそれは感動的な風景であった。古代人が『天降付く天の香具山の風景』として愛でた風景が、二十一世紀の現代でも眺めることができる。それが日向国なのである。あれこれ論じる前に、まずはその風景を眺めることだろう。絶景であることは、間違いない。

○鹿児島の人は慎み深い。こんな絶景を全然喧伝しようともしないのだから。ある意味、鹿児島の人にとって、桜島など、見飽きた風景なのかも知れない。ただ、鹿児島が桜島であることも知らないで鹿児島に暮らしているのは、どういうものか。

○鹿児島に枕詞がある。それが枕詞「天降付く」なのである。そういうことを知ることが文化だと私は思う。薩摩国名が諸菩薩摩訶薩国の謂いであり、大隅国名が「おおすみのたるみ」であることも知らないでは、何とも寂しい話ではないか。