○立春詩の案内を続けている。今回案内するのは、鄭谷の『鷺鷥』詩である。
【原文】
鷺鷥
鄭谷
閒立春塘煙淡淡
靜眠寒葦雨颼颼
漁翁歸後汀沙晩
飛下灘頭更自由
【書き下し文】
鷺鷥
鄭谷
閒かに立つ、春の塘、煙は淡淡たり、
靜かに眠る、寒き葦、雨は颼颼たり。
漁翁の歸りし後、汀の沙の晩、
灘頭に飛び下れば、更に自由なり。
【我が儘勝手な私訳】
密かに一羽の白鷺が春の堤に立っている、川霧が靄っている中、
静かに白鷺は立ったまま、眠っている、寒々とした葦原の中、冷たい雨が降り頻る。
老漁師も帰ってしまった後、水際の砂原の夕暮れ時、
瀬頭に飛び去れば、もっと自由な世界が広がっているのに、白鷺は春の堤に佇む。
〇寡聞にして、鄭谷なる詩人を知らない。インターネット検索では、コトバンクに、次のようにあった。
鄭谷(読み)ていこく(英語表記)Zheng Gu
[生]会昌2(842)? [没]開平4(910)?
中国,晩唐の詩人。宜春 (江西省) の人。字,守愚。幼少から才名が高く,7歳で詩をつくったと
いわれる。清新な詩風で,写景,抒情にすぐれる。七言律詩『鷓鴣 (しゃこ) 』が有名で,そのため
鄭鷓鴣と呼ばれた。詩集に『雲台編』 (3巻) がある。
https://kotobank.jp/word/鄭谷-100020
〇中国の検索エンジン百度の『百度百科』が案内する鄭谷は、次の通り。
郑谷 (唐末诗人)
郑谷(约851年~约910年),唐朝末期著名诗人。字守愚,汉族,江西宜春市袁州区人。僖宗时进
士,官都官郎中,人称郑都官。又以《鹧鸪诗》得名,人称郑鹧鸪。其诗多写景咏物之作,表现士大夫
的闲情逸致。风格清新通俗,但流于浅率。曾与许棠、张乔等唱和往还,号“芳林十哲”。原有集,已
散佚,存《云台编》。
https://baike.baidu.com/item/郑谷/3947484?fr=aladdin
〇中国で、鷺鷥は詩題としては一般的なものであるらしい。『百度百科』が案内する鷺鷥項目には、次のような作品を載せる。
・鹭鸶 (贾岛的诗作) ・鹭鸶 (无则的诗作) ・鹭鸶 (郑獬的诗作)
・鹭鸶 (裴说的诗作) ・鹭鸶 (许浑的诗作) ・鹭鸶 (司马光的诗作)
・鹭鸶 (欧阳修的诗作) ・鹭鸶 (罗隐的诗作) ・鹭鸶 (张咏的诗作)
・鹭鸶 (杜牧的诗作) ・鹭鸶 (刘象的诗作) ・鹭鸶 (徐照的诗作)
・鹭鸶 (张祜的诗作) ・鹭鸶 (释智圆的诗作) ・鹭鸶 (来鹄的诗作)
・鹭鸶 (曹衍的诗作)
〇別に、李白に『白鷺鷥』詩が存在する。
白鷺鷥
李白
白鷺下秋水
孤飛如墜霜
心閑且未去
獨立砂洲傍