天孫降臨のうねびやま | 古代文化研究所

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古代文化には、多くの疑問や問題が存在する。そういうものを日向国から検証していきたい。

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○「ひらききのみみなしやま」・「天降付く天の香具山(かごしまのさくらじま)」と続けて来たのだから、残る「きりしまのうねびやま」についても、触れないわけにはいかない。

○8月22日、鹿児島港に着いたのは午後の4時過ぎで、天候が悪くて、あいにく「きりしまのうねびやま」を望むことはできなかった。鹿児島港沖や桜島からは、普通に「きりしまのうねびやま」を望むことができる。

○つまり、錦江湾では、大概の場所から真実の大和三山である、
  ・霧島山(1700叩
  ・桜島山(1117叩
  ・開聞岳( 924叩
を眺めることができる。これらの山は、現在でも信仰の対象となっている山であることは言うまでもない。と言うか、もともと、大和三山は、それぞれ南九州三国の尊崇の対象であり、そこには後世の一の宮のようなものが存在したと推測される。
  ・日向国一の宮:霧島神社:霧島山
  ・大隅国一の宮:月読神社:桜島山
  ・薩摩国一の宮:枚聞神社:開聞岳
本当は、これが大和三山の正体だと思われる。

○もっとも、当時はまだ、日向国・大隅国・薩摩国の概念はなく、魏志倭人伝の記すところに拠れば、それは投馬国・狗奴国・邪馬台国だったと言うことになる。三世紀に、南九州にこれらの国々が存在していたことを案内するのが魏志倭人伝である。

○それは、魏志倭人伝を読むことによって明らかとなる。現在、邪馬台国が畿内に存在するとか、北九州だとする説が盛んに唱えられているけれども、それらの説を検証すると、何の根拠もない説であることに驚く。

○何故なら、邪馬台国は魏志倭人伝に書かれている史実なのである。その魏志倭人伝すら、満足に検証することなく喧伝されているのが現代の邪馬台国畿内説であり、北九州説なのである。魏志倭人伝をきちんと読めば、魏国が認識している三世紀の倭国三十国は、以下のようにきれいに案内される。
  【渡海三国】
    ・狗邪韓国・対馬国・壱岐国
  【北九州の四国】
    ・末廬国・伊都国・奴国・不弥国
  【中九州二十国】
    ・斯馬国・巳百支国・伊邪国・都支国・邇奴国・好古都国・不呼国
    ・姐奴国・対蘇国・蘇奴国・呼邑国・華奴蘇奴国・鬼国・為吾国・
    ・鬼奴国・邪馬国・躬臣国・巴利国・支惟国・烏奴国・(奴国)
  【南九州三国】
    ・投馬国・邪馬台国・狗奴国
誰も倭国世界をこのように具体的に案内しないで、三世紀の一介の遺物や遺跡で邪馬台国を案内しようと躍起になっている。それが邪馬台国畿内説や北九州説の正体なのである。まさにそれは虚妄の説と言うしかない。

○折しも、今年は「古事記1300年」と言うので、各地で記念行事や記念事業が盛んに行われている。その「古事記」が案内する日本創世の起源は、明らかに天孫降臨の地、竺紫日向之高千穂之久士布流多気なのである。それが『きりしまのうねびやま』であることに誰も注目しない。不思議な話である。

○「古事記1300年」だと言うので、熱心に記念行事や記念事業はなさるが、肝心の「古事記」を読み直そうと言う話を聞かない。「古事記」が展開する話が何処まで神話であって、どこからが史実であるのかさえ、真剣に検証されない。おかしな話である。

○折角、「古事記1300年」を記念するのであれば、本居宣長を顕彰することも忘れてはなるまい。私たちが「古事記」を読むことができるのは、ひとえに本居宣長の功績に拠っている。そんなこともなおざりにしたままで、記念行事や記念事業だけが先行している。

○また、鹿児島には白尾國柱と言う立派な先人が居ることも忘れてはなるまい。この際、白尾國柱の名著「麑藩名勝考」の輪読会くらい開催して欲しいものである。神代三山陵を検証するのに、白尾國柱の業績は不可欠なのだから。

○先日、9月25日に、霧島山の高千穂峯に久し振りに登ってきた。2011年2月3日に、霧島山の新燃岳が突然噴火し、その後、霧島山の多くは登山禁止が続いていた。それが最近解禁になったので登った次第である。

○霧島山の高千穂峯は、ほとんど噴火前と変わらず、健在であった。このことについては、「天孫降臨の世界山」として書こうと思って、書庫まで準備しているが、時間がなくてまだ手を付けていない。

○天孫降臨の世界山、『きりしまのうねびやま』を放擲して、「古事記1300年」を記念することなど、誰にもできない。何故なら、日本創世を発現しようとするのが「古事記」や「日本書紀」の目的であり趣旨なのだから。

○今回、錦江湾からの『きりしまのうねびやま』の写真が撮れなかったので、以前写した写真を掲載する。併せて、先日登った『竺紫日向之高千穂之久士布流多気』山頂の写真も掲載しておく。