寿老人 | 古代文化研究所:第2室

古代文化研究所:第2室

ブログ「古代文化研究所」で、書き切れなかったものを書き継いでいます。

◯都七福神のホームページでは、次の順序で、七福神を案内している。 

  ①京都ゑびす神社   ②松ヶ崎大黒天(妙円寺)   ③東寺(教王護国寺)
  ④六波羅蜜寺   ⑤赤山禅院   ⑥革堂(行願寺)   ⑦黄檗山萬福寺

◯ここまで、ブログ『えびす神の故地』、『大黒天信仰』、『毘沙門天』、『弁才天・弁財天』、『福禄寿』と続けている。したがって今回は『寿老人』になる。都七福神参りでは革堂(行願寺)と言うことになる。

◯前回の『福禄寿』同様、『寿老人』も単独で信仰されることは少ないとされる。もともと、中国の道教の神様だとされる。コトバンクには、次のように解説する。

      寿老人

七福神の一つで長寿を授ける神。中国の宋(そう)代、元祐年間(1086~93)の人物と伝えられ、その偶像化といわれている。小柄な老人が鹿(しか)を伴い、巻物をつけた杖(つえ)を携えるというのが定型の姿である。日本には禅宗伝来後における水墨画発達に伴い、その画題の一つとして移入されたものらしい。布袋(ほてい)、福禄寿(ふくろくじゅ)とともにのちには七福神の仲間入りをして福徳神の一つともされた。しかし寿老人は瑞祥(ずいしょう)の象形とはされたが、個別に福神として信仰されるには至らなかった。なお、南極星の化身ともいわれる長頭短躯(たんく)の福禄寿と寿老人は似た性格をもっていて、異名同体とされるなど、かなり混同されてもきた。          [竹内利美]

 

◯別に、ウィキペディアフリー百科事典が案内する寿老人は、次の通り。

      寿老人

寿老人(じゅろうじん)は道教神仙)。中国の伝説上の人物。南極老人星(カノープス)の化身とされる。七福神の一柱。

を好み頭の長い長寿の神とされる。日本では七福神として知られているが、福禄寿はこの寿老人と同一神と考えられていることから、七福神から外されたこともあり、その場合は猩猩が入る。寿老人は不死の霊薬を含んでいる瓢箪を運び、長寿と自然との調和のシンボルである牡鹿を従えている。手には、これも長寿のシンボルである不老長寿のを持っている。

 

◯ブログ『革堂(行願寺)』を書いた際、次のように述べた。

  ・別に、中国道教の老子だとも言う。なかなか正体不明の存在である。ちなみに、

  当古代文化研究所では、老子の故郷、河南省周口市鹿邑县太清宫镇には、すでに

  参詣済みである。

    ・テーマ「老子故里」:ブログ『老子故里:河南省周口市鹿邑县太清宫镇』

 

  ・七福神のうち、福禄寿神、寿⽼神、布袋尊の三神が中国生まれだとする。それが

  泰山府君であり、老子であり、布袋尊だとすれば、なかなか良く中国の信仰を理解

  していることが判る。中国で、すでに、神仏習合は発生していた。それが日本へ導

  入された証拠となる。そういう意味でも、七福神信仰は興味深い。

  ・当古代文化研究所が、今回、『都七福神まいり』に参加した理由も、実はそこに

  ある。意外に、日本の神仏習合は根が深い。たぶん、それは三世紀まで、遡ること

  ができる。当古代文化研究所では、そういうふうに判断している。

◯七福神の中に、福禄寿神、寿⽼神、布袋尊の三神が存在することの意義は、大きい。それは、中国ですでに神仏習合が発生していることの証左である。当古代文化研究所は、神仏習合を考える意味で、中国五岳など、中国道教の聖地、福地を巡って来た。

◯そういう意味では、福禄寿神が中国五岳を象徴し、寿⽼神が道教の祖、老子であり、布袋尊が弥勒菩薩の化身だと言うことになる。まさに、中国仏教が神仏習合であることを、そのまま表現していることが判る。

◯ウィキペディアフリー百科事典では、神仏習合について、次のように述べる。

      神仏習合

神仏習合(しんぶつしゅうごう)とは、日本土着の神祇信仰神道)と仏教信仰(日本の仏教)が融合し、一つの信仰体系として再構成された宗教現象。神仏混淆(しんぶつこんこう)ともいう。習合、宗教的シンクレティズムの一種。

 

◯しかし、神仏習合は仏教が日本へ入った時、すでに、神仏習合の形で伝来した。中国で、仏教は、すでに神仏習合を遂げていた。そのことは、中国仏教を調べると判る。当古代文化研究所が中国五岳、

  ・東岳泰山(山東省泰安市泰山区)
  ・南岳衡山(湖南省衡陽市南嶽区)
  ・中岳嵩山(河南省鄭州市登封市)
  ・西岳華山(陝西省渭南市華陰市)
  ・北岳恒山(山西省大同市渾源県)

あるいは、中国四大仏教名山、

  山西省:五台山

  浙江省:普陀山

  四川省:峨眉山

  安徽省:九華山

さらに、中国五山である、

  五山  第1位    径山寺   径山興聖万寿禅寺    杭州余杭 現存
  五山  第2位    霊隠寺   北山景徳霊隠禅寺    杭州 現存
  五山  第3位    天童寺   太白山天童景徳禅寺   寧波 現存
  五山  第4位    浄慈寺   南山浄慈報恩光孝禅寺  杭州 現存
  五山  第5位    阿育王寺  阿育王山広利禅寺    寧波 現存

などへ参詣して来たのは、そういう理由からである。

◯そういう意味でも、京都の都七福神は気になる。このようにお参りしてみて、日本への仏教伝来が神仏習合で入って来たことが判る。大いに勉強になった。