総見院の茶室 | 古代文化研究所:第2室

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ブログ「古代文化研究所」で、書き切れなかったものを書き継いでいます。

◯大徳寺の塔頭は、何処も狭い。その狭い境内に、多くのものが存在しているのだから、驚く。よくもこういうふうに存在するものかと、感心する。また、庭もよく造作され、よく手入れされているのに、脱帽である。こういうのが文化なのであろう。

◯偶々、去年9月に、中国、蘇州を訪れた。これまで、蘇州は、何度も訪れている。今回は伍子胥の足跡を探しに、蘇州を訪れた。蘇州の町を作ったのが伍子胥である。

◯伍子胥の足跡を辿った際、時間に余裕があったので、蘇州四大園林を巡って来た。蘇州四大園林は、蘇州古典園林とも言い、次のものを指す。

  宋代:滄浪亭

  元代:獅子林

  明代:拙政園

  清代:留園

◯このうち、拙政園と留園は、中国四大名園でもあると言う。ちなみに、中国四大名園とは、次のものを指す。

  拙政園:江蘇省蘇州市 

  頤和園:北京市海淀区 

  避暑山荘:河北省承德市 

  留園:江蘇省蘇州市 

◯実は、今年、2024年3月1日に、中国を訪れ、北京の頤和園と承徳市の避暑山荘を訪れて来た。これで、中国四大名園も全部、訪問したことになる。

◯なぜ、こういうふうに、中国の庭園に執着するかと言うと、中国文化を最も良く伝えているものが中国庭園だと理解したからである。そういうことは、実際、中国庭園を訪れた者にしか、理解されない。

◯そういう目で、大徳寺の塔頭の庭園を眺めることは、楽しい。今どき、そういう文化を楽しむ人は、ほとんど居ない。何とも寂しい話である。

◯その点、総見院の茶室は気になる。総見院の茶室は、次のように案内される。

   本堂の裏には茶室が3つもあり、茶室までの道をつなぐ廊下の天井に、

  腰(こし)があります。これは信長の葬儀の時に信長の木像を載せるために

  使われたもので、使われたのはその一度きりだそうです。葬儀後、どこに

  置いたものか悩んだ末、廊下の天井に飾ることにしたんだとか。

   さきほどの腰がある廊下の向かいあたりにあるのが茶室「香雲軒」です。

  8畳の茶室と書院(20畳、12畳)があり、かなり大きな茶会も催されるそうです。

   廊下の突き当りにある茶室「龐庵(ほう-あん)」は三畳向切。

   一番奥にある茶室が「樹庵席」。

   一休禅師の掛け軸が架けられていました。

◯この一休禅師の掛け軸とは、一休の遺偈になる。なかなか総見院は勉強させられて、楽しい。

  【原文】

      一休禅師遺偈

    須弥南畔
    誰会我禅
    虚堂来也
    不直半銭

  【書き下し文】

      一休禅師遺偈

    須弥の南畔、
    誰か我が禅を会せん。
    虚堂来るや、
    半銭に直せず。

  【我が儘勝手な私訳】

    私一休宗純はその生涯を仏道に生きた、

    しかし、たぶん、私の禅を誰も理解できまい。

    大徳寺開山の宗峰妙超の師、南浦紹明のそのまた師である虚堂智愚であっても、

    半銭の価値すら無い、それが私の禅だ。