大和三山とは何か | 古代文化研究所:第2室

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ブログ「古代文化研究所」で、書き切れなかったものを書き継いでいます。

◯前回、ブログ『香具山』を書いて、大和三山の順序が、

  畝傍山・香具山・耳成山

であることを案内した。それを国(文部科学省・文化庁)が、

  香具山・畝傍山・耳成山

と並べていることが誤りであることを述べた。

◯なぜなら、日本で、畝傍山以上の山は存在しないからである。日本で最も神聖な山が畝傍山なのである。そのことは、「古事記」や「日本書紀」を真面目に読めば判る。

◯ただ、残念なことに、誰も真面目に「古事記」や「日本書紀」を読もうとしない。その証拠に、天孫降臨の世界山が何処であるかすら、規定できない。そんな愚かな話は無い。

◯第一、日本神話が言う日向神話がどういうものであるかすら、ご存知無い。意外に、日本の文化は底が浅い。日向神話とは、

  天孫降臨神話

  海幸山幸神話

  神武東征神話

であることを理解している人は、少ない。

◯実は、天孫降臨神話の舞台が大和三山だと言ったら、誰もが驚く。それは、誰もが日向国をご存知無いからである。日向国=宮崎県だと思っている人に、日向神話は理解されない。

◯日向神話の時代の日向国は、おおよそ、鹿児島県と宮崎県の範囲であって、宮崎県ではない。その日向国の中心は、鹿児島県になる。なぜなら、神代三山陵も大和三山も、実は鹿児島県のものだからである。

◯今どき、神代三山陵などに言及なさる方は居ない。当古代文化研究所では、そういう研究をしている。現在、神代三山陵は、次のように規定されている。

  初代・彦火瓊々杵尊の御陵=可愛山陵=鹿児島県薩摩川内市の新田神社
  二代・彦火火出見尊の御陵=高屋山陵=鹿児島県霧島市溝辺町麓の高屋山陵
  三代・彦波瀲武鸕鷀草葺不合尊の御陵=吾平山陵=鹿児島県鹿屋市吾平町上名の吾平山陵

◯しかし、これは明治維新のどさくさに紛れて造作されたものであって、本物ではない。本物は白尾國柱に学ぶしかない。その白尾國柱の研究を継承すれば、真実の神代三山陵が見えて来る。それは、次のように、案内される。

  初代・彦火瓊々杵尊の御陵=可愛山陵=鹿児島県肝属町内之浦甫与志岳(叶岳)
  二代・彦火火出見尊の御陵=高屋山陵=鹿児島県肝属町内之浦国見山
  三代・彦波瀲武鸕鷀草葺不合尊の御陵=吾平山陵=鹿児島県鹿屋市吾平町上名の吾平山陵

◯同じように、大和三山も、現在、奈良県橿原市に存在する、

  畝傍山

  香具山

  耳成山

だと言われている。

◯しかし、「万葉集」を真面目に読むと、奈良県橿原市の大和三山は本物では無いことが判る。大和国名を冠した山が200mにも満たない山であるはずがない。だれが考えても判ることである。本物の大和三山は、日向国に存在する次の山々である。

  ・うねびやま=霧島山(1700m)
  ・かぐやま=桜島山(1111m)
  ・みみなしやま=開聞岳(924m)

◯ただ、大和三山が二つもあっては、何とも紛らわしい。それで、当古代文化研究所では、本物の大和三山の方を邪馬台国三山と呼び称している。もちろん、ここが邪馬台国のあったところだからである。

◯中国の正史「三国志」を真面目に読むと、そういうことが判る。もっとも、基本、日本人には「三国志」は読めない。「三国志」の編者、陳寿がその読者対象としているのは、中国の専門史家のみである。

◯陳寿は「三国志」倭人条1986字が読みたければ、会稽か寧波で読むに如くは無いと言う。それが判らないようでは、到底、「三国志」は読めない。もともと「三国志」は、そういう書物である。

◯当古代文化研究所は、これまで、七回寧波を訪れ、会稽にも四回訪問している。全て、「三国志」倭人条を読みたいが為である。ついでに、陳寿の故郷、四川省南充市を訪れ、陳寿の記念館である萬巻楼にも詣でている。

◯同じように、大和三山登山も、今回が八回目でである。

  第1回  1992年3月28日
  第2回  2003年8月11日
  第3回  2005年5月10日
  第4回  2009年3月29日
  第5回  2010年4月3日

  第6回  2011年5月3日

  第7回  2021年2月3日

  第8回  2022年12月19日

◯誰もが香具山を知っているようで、誰も香具山をご存知無い。第一、「かぐやま」の名称が何を意味するか。名は体を現すと言う。そういう話を誰もなさらない。実に不思議な話である。

◯おまけに、香具山にだけ、「天の」と言う美称が冠せられる。それがどうしてか。大野晋の岩波古語辞典にしたところで、次のように説明しているに過ぎない。
      天降りつく
   [枕詞]香具山が天から降下したという伝説によって、「香具山」にかかる。
  「天降りつく天の香具山霞立つ春に至れば」(万葉二五七)

◯こんな説明では小学生だって納得しない。香具山には、当然、それなりの理由根拠がある。次回、そういう話をしたい。