○前回、皮日休の『汴河懷古二首』詩を案内した。もう一つくらい皮日休の作品を紹介しておきたい。有名なのは『牡丹』詩らしい。
【原文】
牡丹
皮日休
落盡殘紅始吐芳
佳名喚作百花王
競誇天下無雙艷
獨占人間第一香
【書き下し文】
牡丹
皮日休
殘紅の落ち盡くして、始めて芳を吐き、
佳名は喚びて「百花の王」と作す。
競ひ誇る、天下無雙の艷、
獨り占む、人間第一の香。
【我が儘勝手な私訳】
春の花が全部散り終わったころに、牡丹花はようやく開き始め、
世の中の人々は、牡丹花を「百花の王」と呼び称賛している。
牡丹花は世の中に並ぶ者の無いあでやかな美しさを競い誇るかのように咲いている、
牡丹花は世の中で一番の花として、その人気を独り占めしている。
○中国では、特に牡丹花の人気は凄い。古都洛陽は牡丹花で知られる。洛陽へ行った際、牡丹花の絵ばかり見せられて、閉口したことがある。
○我が家にも、一本、牡丹がある。数年前に甥が母のために、5月の連休のころに岡山から持って来てくれた。それから毎年一輪か二輪、花を点ける。特に手入れもしていないのに。健気な花だと私は思っている。