ひきこもりを考えるヒント連載-18


  ひきこもり支援団体がさまざまにあり、中には「居場所」の設定を支援の柱としてし、来所を呼びかけていることがあります。

 このような支援団体による「居場所」のあり方についての考え方を述べたいと思います。

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🔸『居場所』や『活動の場』を提供し、自立した日常生活と社会生活を営むためのきっかけづくりとなる支援を行います。(A市社会福祉協議会)
🔸ひきこもりに悩むご本人やご家族の方々が、誰にも相談できず地域社会から孤立してしまう状況の中、
社会とのつながりを回復するために、安心して過ごせる場所や、自らの役割を感じられる機会が必要であることから、安心感や共感性を大切にした居場所を設置・・・(NPO法人B)
🔸地域若者サポートステーションは、働くことに踏み出したい若者たちとじっくりと向き合い、本人やご家族の方々だけでは解決が難しい
「働き出す力」を引き出し、「職場定着するまで」を全面的にバックアップする・・・(厚労省・サポステ)
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  読んですぐに疑問を持ちます。
  『居場所』をどう捉えているか、とてもハッキリしています。


🔸「自立」できていないので『居場所』を提供する
🔸「社会とのつながりを回復する」ために『居場所』を提供する
🔸「『働き出す力』を引き出す」よう『居場所』を提供する


  『居場所』と捉えられている場所が、社会への「通路」としか見られていません。ひきこもることの意義を否定しているのでこういうことになるのでしょう。人工的な設定と、本人主導の『居場所』の区別が混乱しています。自立できていない、つながりがない、働く力がない、ない、ない尽くし。
 
 つまり、〔する・できる=do〕の物差しから発想する『居場所』です。

 ・・・ハイハイ、〔する・できる=do〕が小さくなっているあなた! 〔する・できる=do〕が途切れかかっているキミ! そんなところに閉じこもっていないでこっちへ来て一歩一歩進みましょう! ハイ、次はこのカリキュラムを進めようか。ゆっくりゆっくり。良いねぇ。〔する・できる=do〕がだんだん大きくなって来たよ~。・・・まるで、〔する・できる=do〕修復工場であるかのようです。

 当事者同士の触れ合いやピア・サポートを併設する支援団体もあるので、一概には言えませんが、「支援」の多くが〔する・できる=do〕の物差しに囚われています。【滞在期・前半】、【滞在期・後半】という、ひきこもりのプロセスへの見極めも配慮も存在していないのです。
 (鮮)