ひきこもりを考えるヒント連載-14

ひきこもりの段階  (仮説)
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【緊急退避】……会社や集団の場など社会の第一線から、とにかく退避する。緊急退避する。それが、ひきこもりの第一段階。
 

【滞在期・前半】……しかし、何てことをしてしまったのかと青ざめ、煩悶し、ひたすら〝社会常識〟を遮断して過ごす第二段階。ひきこもり滞在期(前半)。
 

【滞在期・後半】……自分だけの世界のなかで、自分だけと四つに組むことで一定の自己整理をしていく、ひきこもり滞在期(後半)。
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仮説について
(1)【緊急退避】……ひきこもり第一段階が緊急退避であること。これについては、たいがいの方が頷いていただけるのではないかと思います。

(2)【滞在期】……ひきこもり滞在期を前半と後半に区別しました。この前半と後半を合わせた期間が、ひきこもりの本体だと考えられます。前半から後半への所要時間は、その人によって異なります。前半がうまくいかないと滞在期全体が長引くと思います。

 

※石崎さんが言っていた「とにかく、親と顔を合わせたくなかった」、山田ルイ53世さんが言っていた「夜は最高!」のように〝遮断〟ならびに濃い〝籠もり〟が出来ないと〝自分だけと四つに組む〟への回路がうまくつながらないと思います。

(3)【滞在期・前半】……〝娑婆〟で傷つき、自己否定感のどん底に陥る。その『自己否定感』の由来が杳として掴めない。人間関係に由来するのか、その人間関係における自分の立ち位置に由来するのか、それはまた自己史や自己存在に起因しているのか、など。

 

 緊急退避したために、それらの由来の検証が〝過去・記憶〟に頼らざるを得ないこと、また退避してしまうような〝弱さ〟を自己史・自己存在検証に追加せざるを得ないことなど、膨大な営為となる。
 

 さらに、その営為が傍からはほとんど見えない。そのために、周りが苛立つ、さざ波が起きる、やがて「出て来い」コールや善意の「引き出し」型支援にも遭遇する。
 

 籠もるけれども、真正の籠もりになかなか辿り着けない。これが、滞在期・前半の姿であると思います。

 ひきこもりの段階をめぐる、ここまでの仮説、どうでしょう。まだ【滞在期・後半】についての仮説が残っていますので、次回に。
 (鮮)

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