食べること、学校給食ということ | SIS日記

SIS日記

NPO法人SIS(シス)スタッフによるリレー形式の日記です。
「こころが動いたこと」や「共有したいささやかな出来事」など
スタッフの「想い」を定期的に更新していきます。
どうぞお楽しみに!

「自閉症を生きた少女」天咲心良 (♯発達障碍)
 
 
  「自閉症を生きた少女」という本があります。発達障碍の当事者が、自らの体験を描いた自伝的小説です。小説と銘打ってはいるものの、その記述は事実を下敷きにしたであろうことが想像され、克明でリアルです。他の多くの発達障碍当事者が成長期に、学校・集団・社会と齟齬をきたすであろう典型的な事例が具体的に描かれています。(講談社・刊。天咲心良・著。名前の「心良」は「ここら」と読む。小学校編・思春期編の2巻あり)
 
 紹介したいエピソードはたくさんありますが、さしあたって今回は「食べること、学校給食ということ」をテーマといたします。
 
『学校に入ってしばらくし、四時間目の終わりのチャイムが響くと、より一層、気持ちは落ち込むようになった。』
 
『「はあ? あんたたち、まだ食べてるん!?」 わざとらしく驚いたような声で、S(担任、女性)が叫ぶ。私以外にも、給食が苦手な子は二、三人いたのだ。 「食べ残しは許さへんで! 全部食べ終わるまで席立つなよ! トイレも行くな!! 全員やで!!」 Sは、食べ切れていない子全員に念を押し、他の子どもたちを連れて校庭へと出て行った。トイレに行って嫌いなものを吐き出すからと、トイレも禁止された。』
 
 給食が苦手な子のなかでも主人公は特にその傾向が強く、担任Sとの関係は悪化します。
 
『午後の授業が始まると、まだ食べ終わっていないのかと、Sが怒り狂って叫ぶ。「あんた、まだ食べてたん!? ホンマにバカやな! ちっとは迷惑考ええや!!」
 
Sは突然スプーンで乱暴に食べ物を集めると、無理矢理私の口をこじ開け、グッと中に押し込んだ。口の中でスプーンがガチャガチャと歯に当たる。突然のことに半狂乱になった私は滅茶苦茶に暴れ、スプーンを撥ね飛ばし、押し込まれたものを吐き戻した。』
 
 この出来事は、教室に戻ってきた男子たちに知られ、もう一つの渦を巻き起こします。
 
『男子たちが私のそばまで寄ってくると、驚くほど大声で叫んだ。
「うわあーーー!! なんやねんこれ!! こいつ、残飯食べてるーーー!! きもちわるーーーっ!!」 「おまえ、もう、犬やな!!」 「おーーーい!! きょうしつに犬いてるぞぉーーー!!」』
 
『犬じゃない。そう言いたかった。……でも、私は、人間でもなかった。人間扱いすら、されていなかった。人間扱いすらされない、私は、いったい、何なんだろう。』
 
  たくさんあるなかの、一つの、給食にかかわるエピソードです。これを見て、どう思われるでしょうか。次回、もうちょっと踏み込んで考えてみたいと思います。考えてみたい、というのは、一つはこういうブラックな教員について。それから、食べること、学校給食をめぐる問題について。そして、もちろん発達障碍について、です。(鮮)