傾聴講座の報告から 
 
                                          カンディンスキー
 『介護への不安を考える~まだ当事者ではないあなたへ~』というテーマで、NPO法人・SIS相談事業部主催の傾聴講座を10月14日に行いました。その報告です。
 
 SIS・傾聴講座は、今回、「介護」という具体的な場面に絞って行いました。その趣旨は、『まだ当事者ではないけれど、介護を控えて不安をお待ちではありませんか。自分のことも大事にしながら、介護をするにはどうしたらいいのでしょう? いずれ来る日のために、一緒に考えてみませんか。』でした。
 
 講師は、臨床心理士でSIS相談顧問の山川久恵先生です。山川先生から上記の趣旨が話され、先生のリードで一人一人の思いや不安、考えていることなどが話され、交流されていきました。
 
 参加者は、いずれ介護を控えている現在の当事者も、体験者もさまざまでした。
そこで、少し焦点をずらし、やがてくるだろう介護に向けて不安を抱えている人、そういう方の話を、どんな姿勢で聴いていけばいいだろう、という視点で講座が始まりました。
 
 「介護」ということを巡って、自由に参加者それぞれが話していき、その中から、現代の家族事情、晩婚化で、育児と介護が並走することが往往にしてあること、また介護にゴールのないことや、加齢は確実に機能が低下していく、そのことに付き合っていくことなどなど、が出されました。
 
 その中にあって、問題解決でもなく、何が変わるということではなくても、ただ、話をできる場所があること、いろんな縛りのないところで、安心して話す場所が大事であることが、繰り返し出ていたと思います。
 
 私個人の感想ですが、話す中で、私自身、介護を目前に控えて、ジタバタと不安を家族に撒き散らしていたことを思い出しました。
 
 乳がんで亡くなられた小林麻央さんが、「癌だけが私のすべてじゃない」そう叫ぶように書かれていたことを思い出しました。
 
 介護を不安に思う、そういう変化が、生活の中にあったとしても、自分の大切にするものを手放すことなく、自分らしくありたい、そのためにジタバタしていたのだと思い至りました。
 
 生まれてからいつかは必ず死ぬ・・・その道のりの中に起こるさまざまなことに自分で折り合いをつけていく、その伴走者のような存在でありたいと願い存在しているのかな、私たちのSISは・・・と、改めて思ったりしました。
 
      (報告・相談事業部・T。つづく)