言葉遣いが悪く、話が入らない
 
 
 小学校1年生の男の子にかかわって、養育・子育て相談がありました。その相談事例について、よく寄せられる相談ケースも取り混ぜながら一般化し、何回かに分けて掲載してみます。
 
〔言葉遣いが悪く、注意しても話が入らない……相談者・小1男子の母親〕

・小学校1年生の男の子が、言葉遣いが悪くて困っています。先日、私の母と一緒にいるときにK(小1男の子)が自分の気に入っているオモチャの箱を、母(祖母)に「取って」と言ったんですが、母(祖母)が手に取るか取らないうちに「ふざけんじゃねえよ」って言うんです。母も私も、「そんな言い方、ダメっ」と叱ると今度は、「取ってって言っただけなのに、何で二人してオレを責めるんだよ」と、注意しても聞けないんです。朝から晩までこういう状態ではないんですが、何かあるとすごく悪い言葉遣いになり、困っています。
 
・ふだんはそれほどでもないけれど、何かあると言葉遣いが悪い。注意しても聞けない、ということですね。お子さんの状態や環境について、何か変化があったとか、何か気がついたことがありますか?
 
・小学校に入るまではそれほどでもなかったと思います。また、小学校に入ると同時に、放課後の学童クラブに所属していることがあります。親が共稼ぎですので、学童クラブで面倒をみてもらっています。ただ、そこに、とっても言葉遣いが悪い子がいて影響を受けているみたいです。それでKの言葉遣いも急に悪くなったと思います。
 
・なるほど。学童クラブという環境のなかで、ある言葉遣いが悪い子からの影響が考えられるということですね。このことは、学童クラブを利用する他の保護者や、指導する先生、あるいはその子の親、または学校の先生などと何か話題にした、話題になったようなことはありますか?
 
・それが、まだないんです。どうしてかと言うと、まだ学童クラブを利用しはじめて間がないことと、(学童の)先生も手一杯みたいでたいへんみたいだし、なかなか機会を見つけることが難しいことがあります。
 
・それで、ある日の夕ご飯後に夫(父親)も交えてKの言葉遣いのことを話題にしました。夫も、Kの言葉遣いのことは気がついていて、それじゃぁKが自分でも良くないと思うけれども言ってしまう言葉を書き出してみました。
 
・そうですか。どんなものが出されましたか?
 
・「死ね」「うざい」「ふざけんな」「殺すぞ」「知らねえよ」「寄こせ」「あっち行け」「バカ」「バカじゃないの」などでした。それで、こういう言葉を書き出しながら、Kはわかってはいるみたいなんです。悪い言葉なんだということが。
 
・Kくんが、それらの言葉が悪い言葉だということを自覚しているということですね。それは、どういうところからわかりましたか?
 
・Kが、「こいつら、悪い言葉だ」と言いながら書き出していましたので。
 
★・なるほど。悪い言葉遣いがあるということで、その言葉を書き出してみた。いくつかの言葉があげられた。本人は「こいつら、悪い言葉だ」と言いながら書き出した。それなりの自覚はあるようだ。ということですね。こういうことをやってみて、どうでしたか?親として思われたこと。その後のKくんのようすなどで、何か気がついたことがありますか?
 
・はい。その場でガミガミ言うのと違って、あらためて親と子で話し合うことができたように思います。父親も、書き出されたいくつかの言葉を例にして「こういう言葉を自分が言われたらKはどう思うか、考えてごらん」などとかみふくめるように話していました。
けれども、反面、それでもやっぱり悪い言葉遣いがなくならないことがあって、妹(保育園児)と何か取り合いになるときにはひどい言葉を言ったりします。妹も、負けていませんし。
 
(つづく)