「ひきこもり」状態をどう見るか
 
40~50万人?
 いわゆる「ひきこもり」状態にある若者は、一説によれば40万人とも50万人とも存在すると言われる。近年は、当事者の年齢が高齢化(継続化)していて、「80-50」問題だとも言われている。親が「80代」で、ひきこもる子が「50代」のケースが増えているということだ。親の年金が途絶えたときなど、どうなるだろうかということだ。
 
 さて、そもそも「ひきこもり」とは何か。そう問うて定義を求めたとき、とても困ることになる。ひきこもる理由も、ひきこもる長さも一様でないし、ひきこもる当事者の生活実態もよくわからないし、本人から事情を聞くこともままならない。
 
 国・県・市などの行政・自治体では「ひきこもり」に光を当て、支援を試みてはいるが、その『支援』とは何かということになる。なぜなら、「ひきこもり」が何であるのかよくわからずに「支援」など成立しないからだ。
 
 たとえば、私が住む地域にある「ひきこもり 支援ガイドブック」を見てみる。そこでは、「ひきこもり」の定義が次のようにされている。
①6ヶ月以上社会参加していない
②精神障害を第一の原因としていない
③外出していても対人関係がない

以上の3つ全てに当てはまる状態を「ひきこもり」と定義する
 
「6ヶ月以上」の根拠はなにか
 「6ヶ月以上社会参加していない」が「ひきこもり」の1つの根拠になっている理由は何だろうか。なぜ、「6ヶ月」で、「3ヶ月」ではなく、「1年」でも「3年」でもない理由は何だろうか。
  「6ヶ月」のところで線を引いた根拠は、この後の説明を探しても何も書かれていない。「6ヶ月」の線引きによって、何か支援のあり方が変わってくるのか。そういうことも書かれていない。
 
 けれども、巷では上記「ガイドブック」の①~③の定義を何となく受け入れて「了解」しているように思える。①~③を大まかに受け入れた上で大まかに解釈するとおよそ次のようになる。『取り立ててからだやどこかが悪いわけじゃないのに、一人で閉じこもっちゃって仕事にも人の集まりにも行けない人』……
 
 「6ヶ月」の線引き基準は、ほとんどスルーされて話題にならない。『社会参加していない』というところで、もう説明されちゃった気がするのだろうと思う。
 
 すると、問題は『社会参加していない』ということだろうと思う。(つづく)