リリー・フランキー流の「生きやすくなるコツ」
 
 
 先回、「映画のさんぽみち」にて紹介したばかりの、リリー・フランキー氏。俳優、作家、ミュージシャンなどの肩書きを持つ方ですが、ひきこもり経験者としても知られています。
 
 その、リリー氏に、「不登校新聞」編集長・石井志昴氏ほかのメンバーがインタビューを試みました。題して、『リリー・フランキー流の「生きやすくなるコツ」』です。
 
――当事者A(10代・女性):今日はよろしくお願いいたします。私は中学2年生から不登校をしています。いじめを受けたせいか、まったく自分に自信が持てません。どうしたらいいのでしょうか?
 
リリー・フランキー(以下、リリー):キミ、いまいくつ?
 
――当事者A:18歳です。
 
リリー:18歳で自信満々なヤツなんて見ていてイライラするだけだから、そのままでいなさい。大人だって揺らぐし自分に自信がないのはいいことです。
 
当事者B(20代・男性):私も悩みを相談させてください。私は小学生で不登校をし、その後は高校・大学へと進み、いま就職活動中です。しかし自分に自信がないからなのか、どこへ就職したらいいかわからないんです。どこへ行ったら自分に向いているのか、成功するのか。ネガティブな想像はいくらでも思いつくんですが、ポジティブな想像ができません。
 
リリー:そういう予想って当たる?
 
当事者B:バイトならば想像とちがうときもありました。
 
リリー:予想は覆ります。さきのことは考えなくていいんです。みなさんは若いんだからバカなんです。みなさんが想像できる世界なんて先なんてたかが知れています。まじめに考えていたら、職業を選んだり友だちを選んだりしなきゃいけません。それって現実をよけいに難しくさせていることなんです。ちゃんと考えたつもりなのに結果がちがう、それが苦しくなる原因です。考えすぎるのはよくありません。
 
当事者C(20代・男性):考えすぎがよくないのならば「身体の反応」で決めるというのはどうでしょうか。自分の不登校をふり返ると「学校に身体が合わなかった」というのが結論です。いじめがあったとか、先生がいやだったとか、そういうことも思いあたりますが、なにより学校へ行こうとするとお腹が痛い。学校のある日の朝は眠すぎて起き上がれない。これってアレルギーとかといっしょで「身体が学校に拒否反応を示している」ってことかなと思うんです。
 
リリー:わかる。オレはいまでも「仕事に行かねば」と思うとゲリになる。
 
当事者C:そういう「身体の反応」に素直に従っていけば、生きやすさにつながるのではないかと思いませんか?
 
リリー:安心してください。もう少し年を重ねると、つねに眠いし、つねに腹が痛くなります。どんなに楽しいことが起きても、どんなにイヤなことが起きても、もう身体がバカになってしまい、身体のジャッジがあてになりません。俺なんて、この前、友だちと飲んでいて、めちゃくちゃたのしかったのにウンコを漏らしたからね。こんなオレは身体に聞いてもダメ。さっきの話と同じで「これなら大丈夫」という予想はアテになりません。
 
・・・と、まぁ、こんな具合にインタビューというか会話が進んでいます。次回、もう一回、紹介します。(鮮)