高岡講演会に向けて ⑨
11月12日に、発達障碍にかかわる高岡健氏の講演会があります。(くわしくはSISホームページ参照)そこで、前回2月に行われた高岡健氏の講演会記録を再録しています。
 
 高岡氏は、自閉スペクトラム症者のこだわりとパニックについて、次のように話されました。
 
①一般的に「こだわり」によるトラブルが起きやすい
②「こだわり」の背景や理由を知ることが大切
③ふだんから時間の構造化・空間の構造化を工夫し、対応する
④パニックが生じたときには、危険なものやこだわりの対象を遠ざける
⑤パニックによる混乱に対して、タイムアウトをする
 
 真ん中③にある、「時間の構造化・空間の構造化」について、高岡氏の話を報告します。
 
  まず、「時間の構造化」というのは、集団行動などでどういう流れで行動するのか、目に見えるようにしておく。たとえば、「スケジュール表」を張り出して前もってわかるようにしておく、などの手だてです。
 
 次に、「空間の構造化」というのは、集団行動や移動などで本人がどの位置になるのか、目に見えるようにしておく。たとえば、「座席表」などを張り出して前もってわかるようにしておく、などの手だてです。
 
 この「時間の構造化・空間の構造化」のことを高岡氏は著作のなかで「目に見える化」とも述べていたと思います。そういう言い方でも良いと思います。
 
 通学や通園バスにて移動するとき、急な変更で座席がずれてしまうことがあった。そういうとき、あらかじめバス専用の座布団があって、それを目印にするという応用もある、と高岡氏は述べています。
 
 要は、集団行動を「暗黙の了解」に委ねることから「目に見える化」に置き換えていくことだろうと思います。「暗黙の了解」に頼りすぎるのは、それへの察知が得意な人と苦手な人との間に序列を生みかねないことになります。
 
 そして、このことは「文化的多様性としてとらえる」の項で報告したように、誰か早めに理解した者が「規則を教える」という「上から目線」を無くすることにつながります。
 
  あらためて、「文化的多様性としてとらえる」項で報告した言葉を再録します。
 
●「定型発達者の規則を非定型発達者に教える」から、「両者ともに住みよい世界をつくる」への転換が大切になる
 
 さて、このような「目に見える化」をふだん行った上で、それでも急な変化や新たな事態が起きてパニックが生じたときに、タイムアウトを行うなどしてパニックを引きずらない工夫をするのだと思います。
 
〔コラム担当者より〕
 この話は、人びとが共に過ごす場面において、多数派ばかりが分かっていて進め、少数派を置き去りにするのでなく、少数派の世界をくぐることによって豊かな文化的多様性を日常化するという考え方につながると思います。
 
★公開講座のお知らせです。
発達障碍について理解し、どう接すればいいのかを学んでみませんか?
講師:高岡 健氏の専門的な立場から紐解く当事者の世界とは・・・
相談担当者はもちろん、ご興味のある方はぜひご参加ください。

発達障碍の「障碍(しょうがい)」について
現在一般的に使われている「障害」は、運動会などの競技名「障害物競走」等でも知られるように、他に何らかの害を与えるモノとしてのマイナスイメージがあり、ある意味、外から判断される社会目線の文字として用いられています。
SISでは、当事者目線を大切に、何らかの原因によって日常生活に影響の出るような制限を受け、社会との間に壁があるという意味で、「障碍」の文字を用いています。

◎詳しくはコチラ↓
SISオフィシャル:公開講座のご案内