高岡講演会に向けて ⑤
                 はなぜきしょう
 
11月12日に、発達障碍にかかわる高岡健氏の講演会があります。(くわしくはSISホームページ参照)そこで、前回2月に行われた高岡健氏の講演会記録を再録します。
 
 「自閉スペクトラム症」の診断はどのような窓口になっていて、どのように理解していくのか、について高岡氏は話を進めました。
 
 3つ組の特徴が3歳前からあることが、一般的な診断としてあります。
 ①対人交流の困難
 ②コミュニケーションの困難
 ③想像力が深いが狭い(こだわり)
 
 具体的には、
 ①・抱っこして目と目が合いにくい 
  ・後追いや指差しなど共有できない 
  ・お遊戯など関心がない 
  ・集団行動が苦手(対人交流の困難)
 ②・言葉による交流や身ぶり言語が苦手 
  ・二語文から三語文などの遅れ 
  ・独特の言葉遣い、特異な言葉遣い
  (コミュニケーションの困難)
 ③・ミニカーを一列に並べて秩序を楽しむなど、
   頭の中に流れが入っている。
   往々にして「わがまま」と誤解されやすい(こだわり)
 
 これ以外に、不器用、視覚優位、感覚過敏などの特徴を付け加えることもある。
 
 この3つ組の特徴のとらえ方に対して、高岡氏は次のように肯定的に見る見方を紹介しています。
 ①・性・年齢・文化・地位などへの偏見や囚われがなく、
   額面通りの「あなた」として相手に向き合う(対人交流)
 ②・暗黙の了解事項のない会話をする 
  ・皮肉、裏の意味などに囚われない
  (コミュニケーション)
 ③・全体よりも細部をとても好み、独創的で、
   しばしばユニークな考え方をする(こだわり)
 
 高岡氏は、また、もう一つの見方も紹介しています。それは、1990年代後半にJudy  Singerが、「自閉症者は、マラリアに対する『鎌状赤血球症』と同じく、正常変種の一つ」という見方です。『鎌状赤血球症』とは、鎌の形をした三日月型の赤血球でマラリアに罹らない特質があるということですが、異常などではない、正常な範囲の変種である。それと同じように、自閉スペクトラム症は正常な発達の一過程で、文化的多様性を表すものだというのです。
 
〔コラム担当者より〕
「正常な発達の一過程で、文化的多様性を表す」ものとして発達障碍をとらえる。いいですねぇ。
 
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発達障碍の「障碍(しょうがい)」について
現在一般的に使われている「障害」は、運動会などの競技名「障害物競走」等でも知られるように、他に何らかの害を与えるモノとしてのマイナスイメージがあり、ある意味、外から判断される社会目線の文字として用いられています。
SISでは、当事者目線を大切に、何らかの原因によって日常生活に影響の出るような制限を受け、社会との間に壁があるという意味で、「障碍」の文字を用いています。

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