内側から危機がやってくる!? 
 
 「なぜ、雪は舞い散るの?」
 「なぜ、月はついてくるの?」
 小さい子どもが、こんな質問をしたりします。サムの子どもルーシーが、4~5歳のころでしょうか。
 
 ところが、やがて(やはり成長すると)、ルーシーがこんな質問をします。
 「ママは、帰ってくるの?」
 
 サムは、しばし虚空を見つめたあと、こう言います。
 「ポール・マッカートニーもジョン・レノンも、子どものとき母をなくした。神様がママを取るのは、その人が特別だからだと、アニーが言ってた。」
 
 サムは、隣人アニーの言葉を引用しながら、ルーシーが父子家庭であることに引け目を感じないための自分なりの精神的な支えを持とうとしていたのです。(それは、やはりビートルズ絡みでした。)
 
 ところが、ところが、ルーシーは(思い切って!)サムにこう尋ねます。
ルーシー「ねぇ、パパも、特別に神様の決めたことなの?それとも、偶然?」
サム「ど、どういうことだい??」
ルーシー「パパは、ほかの人と違う。ほかのパパと違う(から)」
サム「(しばしの間の後)・・・ごめんよ、こんなで。パパ、謝るよ!」
ルーシー「いいの! (サムの手を握りながら) 謝らないで! 私は幸せだから!」
 
 切ない場面です。この会話の前後にルーシーのクラスメイトが「お前のパパ、おかしい!」と言う場面があります。しかし、この会話の場面ではルーシーの質問を通して、つまり内側から危機が訪れるのです。
 
 サムの障害について、周りから何だかんだと言うことはあったでしょう。しかし、ルーシーという内側の真ん中から、それはやってきたのです。
 
 けれども、内側からのそれを克服したなら、二人は強くなる。なった。それは、この後、もう会話には出て来ないけれど、二人の表情と行動からわかる。この後も、ストーリー上はいろんなことがありますが、二人は内側からの危機を超えたんだと思います。                    終わり。
 
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