「障碍」という言葉と考え方 
 
 
 「発達障碍の理解と支援」にかかわる高岡健氏の話は、まず用語の整理からはじまりました。表題の表記のように「障害」が「障碍」という文字になっています。(後述)
 
 言葉、とくに概念を表す用語は、もののとらえ方や考え方を芯にしながらも世の中の移り変わりと相まって変化します。かつては、日常語で「ぼけ」と言われた認知症が、以前は「痴呆症」とされ、現在は「認知症」とされているように、です。
 
●現在は、「発達障害」から「自閉スペクトラム症」とする用語になりつつある。「自閉症」の前に「高機能」とか「軽度」を付けたり、「アスペルガー症候群」というような概念は消えつつある。
 
●「定型発達・非定型発達」という言い方があり、前者は「凡人」、後者は知的発達症や自閉スペクトラム症などを表している。これは、「非定型発達」者本人が言い出したことから来ているが、発達が正常か異常かという見方をしないという点で意義を持っている。
 
●「障害」の「害(がい)」は、ほんらいは「さまたげ」の意味を持つ「碍(がい)」であるが、登用漢字にないために「害」が使われている。「障碍」と表記するのがよい。
 
 かつての「痴呆症」の「痴」につきまとっていた「おろか」「足りない」という侮蔑的なニュアンスが克服されて「認知症」とされたように、社会的理解と概念とが二人三脚で進展することは大切なことです。
 
 その上で、「発達障碍」について、高岡氏は次のような重要な考え方を述べています。 
●発達障碍とは、「非定型発達+社会的障壁」の姿である。
 
 ・・・・・次回に続きます。