「空間の構造化」・「目に見える化」 
 
 前回は、発達障害・自閉症スペクトラムを有する人たちへのサポートとして、『時間・空間の構造化』のうちの『時間の構造化』を取り上げました。では、『空間の構造化』とはどういうものかです。
 
 「スクールバスで座る席が、いつも同じという自閉症の子どもがいたとして、その席に別の子どもが座ったなら、大混乱が生じがちです。わがままだと誤解されることも少なくありませんが、それは違います。たとえば、もし、その子ども専用の座布団が用意されていて、それを目印に席を移ることがあると予め説明されていたなら、混乱の可能性は少なくなるでしょう。これは、空間の構造化の一例です。」(高岡健著「やさしい発達障害論」批評社より)
 
 スクールバスという空間を例にした『空間の構造化』の説明は、とても分かりやすいと思います。それは、思うに、自分の居場所の「めやす」が分かることだと思います。
 
 自閉症の子どもならずとも、私たちにも思い当たることがありそうです。職場などの忘年会や新年会の座席とか、初めての集まりでどの席に座るとか、表に出て来ない心労がさまざまにありそうです。
 
 突然の話ですが、前回の芥川賞を受賞した「コンビニ人間」(村田紗耶香・著)という小説を、この『時間・空間の構造化』という視点から読んでいくと考えさせられることがあります。(このことは、後日、「文学のさんぽみち」で取り上げるつもりです。)