幼い子は微笑む  
 
 「幼い子は微笑む」 詩・長田弘 絵・いせひでこ (講談社)
 
 これは・・・、子ども向けの絵本? かな?
 
 詩人・長田弘さんの詩に、伊勢英子さんの素敵な絵がつけられた絵本です。
 
 声をあげて、泣くことを覚えた。
 泣きつづけて、黙ることを覚えた。
 
 両の掌をしっかりと握りしめ、
 まぶたを静かに閉じることも覚えた。
 穏やかに眠ることを覚えた。
 
 ふっと目を開けて、人の顔を
 じーっと見つめることも覚えた。
 
 そして、幼い子は微笑んだ。
 この世で人が最初に覚える
 ことばでないことばが、微笑だ。
 人を人たらしめる、古い古い原初のことば。
 
 ・・・まるで、ひとつの哲学のような長田さんの詩です。
  『この世で人が最初に覚える ことばでないことばが、微笑だ。』という言葉に出会うと、しみじみと唸ってしまいます。