いじめを「把握」するということ
 
 
 
 文部科学省の調査によれば、全国国公私立の小中高、特別支援学校が2015年に把握したいじめ件数は、22万4540件だったということです。(10月28日、各紙報道)
 
 これは、前年度から3万6千余件増加したもので、文科省は「積極的な把握に努めた結果」だとしています。とくに、小学校では過去最多の件数となっているということです。
 
 いじめは、見えにくいと言われます。「積極的な把握に努めた」ということですが、教師には授業からはじまってたくさんの事務・実務もあります。
 
 休み時間に通りかかって、子ども同士のからかいとも悪ふざけとも見分けがつかない場面を目撃し、「大丈夫?」と尋ね、「大丈夫」と笑顔で返事したとします。そこに孕まれているものがあるにもかかわらず、「大丈夫」と笑顔で返すことがあるとしたら、どのようにして子どもはその種の笑顔を身につけたのだろうか。
 
 いじめへの「積極的な把握」とは、業務のなかの一つとしてでなく、総合的で根底的な人間的想像力を伴ったものでなければならないと思います。