「個を大事にする」とは?
 
 遅くなりましたが、市川拓司さんのプロフィールを紹介します。1962年、東京生まれ。作家。03年発表の「いま、会いに行きます」が映画化・TVドラマ化され、文庫と合わせて140万部のベストセラーとなる。他に作品多数。
 
 さて、前回に「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」の人は、その成長のなかで社会の約束事などにゆっくり目に参加する少数の人たちだが、それは「障害」などでなくその人の「その人らしさ」だという仮説を書きました。
 
 この仮説でいけば、「多動(落ち着きがなく)で、公式的な場への注意が足りなくて、衝動的である」というイメージは大きく変わります。
 ①「多動で落ち着きがない」のは、自分の興味・関心がはち切れそうになっているから
 ②「注意不足・注意散漫」なのは、退屈さにガマンできず好きなことに集中するから
 ③「衝動的」なのは、思い立ったらすぐ動く活発さを持っているから
 
 う~むむっ、そんなワガママを認めていたら世の中が成り立たない! 「何やっとるんじゃぁ!?」 ・・・と、頭に血が上る方がおられましょうが、ここはじっくりと落ち着いて考えたいものです。
 
 なぜというに、「多動性」というのは社会性を重視する目からは「集中力がない」ことになりますが、本人の興味・関心を追求する面から見れば「ものすごい集中力」を示しているからです。
 
 私たちは、「個を大事にする」という点で、このような問題が突きつけられているのです。