ブドウ糖(ぶどうとう)
動植物が活動するためのエネルギーとなる。 脳がエネルギーとして利用できる唯一の物質で、人体にとっても重要な栄養素。 グルコース(glucose)は果物や穀類などに多く含まれ、自然界に最も多く存在する単糖類です。 日本語ではぶどうから発見されたためブドウ糖と呼ばれます。
ピルビン酸はグルコースが解糖系によって分解されて生じる分子。 嫌気的条件下ではピルビン酸はさらに乳酸へと変換される。 乳酸菌のような嫌気性細菌はグルコースを乳酸に代謝することによりATP(エネルギー)を獲得する。
動物のみでなく,生物界に広く存在する。 解糖で生じたピルビン酸はアセチルCoAとなって本回路に入り,オキザロ酢酸と結合してクエン酸になる。 以後脱炭酸,脱水素を受けながら回路状の反応系を一巡し,その結果1分子のピルビン酸から3分子の二酸化炭素,2分子の水,15分子のATPを生じる。
酸化が十分に供給されているとき(好気的条件)では、グルコースから生成されたピルビン酸はアセチルCOAに変えられた後に、オキサロ酢酸と反応してクエン酸を生じる。さらに、クエン酸はイソクエン酸に、イソクエン酸ケトグルタル酸にというように順次反応してゆき最終的にオキサロ酢酸を生じる。このオキサロ酢酸はまた新たなアセチルCOAと反応してイソクエン酸を生じる。カルボン酸(TCA)回路ともいう
TCA回路は、ミトコンドリアのマトリクスの部分で起こる
糖質、脂質、アミノ酸の炭素部分を完全に酸化して、二酸化炭素(CO2を生成する。1分子のピルビン酸から3分子のCO2
TCA回路が働くとき、酸化の過程でNADH2としてFADH2として水素(電子)を引き出し、そのNADH2としてFADH2はミトコンドリアのクリステにある電子伝達係へ移されたATPを生産する(酸化的リン酸化)
糖とアミノ酸相互、または糖から脂質への転換をするため基本経路。
ピルビン酸から1モルから15モルのATPが生産
TCA回路はミトコンドリア内のマトリクス部分でピルビン酸から
ポイント
クエン酸回路
クエン酸回路⇒最初にクエン酸を生成する反応
解糖系で生じたピルビン酸は、ミトコンドリアのマトリクスに取り込まれます。
このときに起こるクエン酸回路の様子を表したのが、次の図です。
なお、図で丸く囲まれたC4などの表記は、その物質がC(炭素原子)をいくつもっているかを表しています。
それでは、反応の流れを順番に見ていきましょう。
クエン酸回路では、化学反応が次々と起こり、物質が循環します。
最初に注目するのは、図の上の部分です。
解糖系で生じたピルビン酸がミトコンドリアに到達しました。
このとき、外膜と内膜を通って、マトリクスに進入していますね。
このとき、ピルビン酸が活性酢酸へ変化しています。
次に、活性酢酸が、オキサロ酢酸と反応して、クエン酸ができます。
反応系において一番最初に生成する物質がクエン酸なので、クエン酸回路というのですね。
クエン酸→α-ケトグルタル酸→コハク酸→フマル酸→リンゴ酸→オキサロ酢酸→…
クエン酸はさらに、次のような流れで循環していきます。
クエン酸→α-ケトグルタル酸→コハク酸→フマル酸→リンゴ酸→オキサロ酢酸→…
このときに出入りする物質に注目しながら、順番に確認していきましょう。
注目するのは、二酸化炭素・水素・水・ATPの4つの物質です。
二酸化炭素を放出する反応は3つ
二酸化炭素が放出される反応が3つあります。
まずは、ピルビン酸から活性酢酸へ変化する過程を見てください。
ピルビン酸はCを3つもっていますが、活性酢酸はCを2つしかもっていませんね。
このことからも、二酸化炭素が放出されたことがわかります。
他にも、クエン酸がα-ケトグルタル酸へ変化する過程、α-ケトグルタル酸がコハク酸へ変化する過程でも、二酸化炭素が放出されています。
どの反応でも、物質のもつCの数が減っていることに注意しましょう。
水素を放出する反応は5つ
次に、水素に注目しましょう。
図を見てください。
クエン酸回路でも、解糖系と同じように水素が放出されます。
図では、水素が放出される反応が5つあります。
また、水素がNADH + H+ というかたちで放出される反応と、**FADH2**というかたちで放出される反応があります。
ピルビン酸から活性酢酸、クエン酸からα-ケトグルタル酸、α-ケトグルタル酸からコハク酸、リンゴ酸からオキサロ酢酸という4つの化学反応においては、水素はNADH + H+ というかたちで放出されます。
一方、コハク酸からフマル酸へ変化する過程では、FADH2 というかたちで水素が放出されます。
FADH2とは、水素がFADと結合したものです。
水を必要とする反応は3つ
次に、水に注目しましょう。
図を見てください。
水を必要とする反応が、3つあります。
オキサロ酢酸からクエン酸、α-ケトグルタル酸からコハク酸、フマル酸からリンゴ酸という3つです。
ATPが合成される反応は1つ
最後に、ATPに注目しましょう。
ATPが合成される反応が、1つあります。
図を見ると、α-ケトグルタル酸からコハク酸が生成される過程で、ATPが生成されていることがわかります。
そもそも呼吸のような異化の過程では、有機物を分解してエネルギーを生成することが特徴でした。
そのため、解糖系と同じように、クエン酸回路でもATPが生成するのですね。
クエン酸回路をまとめると…
クエン酸回路は複雑ですが、化学反応式とあわせてしっかり覚えましょう。
このときの反応を、式にまとめると、次のようになります。
クエン酸回路では、2molのピルビン酸が、6molの水と反応します。
そして、6molの二酸化炭素を放出しつつ、8molのNADH + H+と2molのFADH2を生成しながら、2molのATPを生成します。
また、クエン酸回路全体で20molの水素原子が生成され、呼吸の3番目の反応である水素伝達系(電子伝達系)へ移ることもおさえておきましょう。