紙の時代 | シロピョンの本棚

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たいくつな教育課程。現状打開を考えたシロピョンが狙ったのが学園祭。学科単位で参加するグループに入りました。

ここでは、学園祭展示の名目で、院生や卒研生に交じって、研究室のミニコンを利用できます。まだ3年生でもないのに、教授の研究室に入り浸り、卒研生にミニコンの使い方を教えたりもしてました。

当時の学科のプログラム演習は、コーディング用紙にプログラムを書き、パンチ依頼。出来上がったパンチカードデックを依頼用紙と一緒に電算棟の中型コンピュータ室に提出。翌日、バッチ処理の結果がラインプリンタ用紙に印字されて返ってくる方式。修正は電算棟にあるカードパンチャでバチバチ打って差し替えです。

演習で使う紙カードは、生協で4円/枚で売ってました。電算棟には学科生専用のカード置き場があって、カードラックの個別の引き出しに2カートン4000枚のパンチカードを置くことができました。

そこで学園祭の資金稼ぎに紙カード販売を計画。東大赤門傍のコンピュータサプライ用品卸しの店に友達の車で買い付けに行きました。ここでの買い値は2円/枚。これを3円/枚で販売して差益で学園祭の機材を購入します。

さて、学園祭の公開イベントが体育館で実施されることになって、参加することに。演目はマイコン制御の自動演奏システムです。これで公開演奏をしました。

楽譜は紙テープにパンチ。研究室から借りた光学式紙テープ読取装置で楽譜を読み取って16分周、32分周のICチップで発信。メロディを演奏します。

演目はヴィヴァルディの「四季」春・第一楽章です。NHK連続テレビ小説「おはようさん」のオープニングテーマ曲で、当時、流行っていました。



電子計算機学科ですから、まあ当然の演目ですが、シロピョンは半田ゴテすら、ろくに使えないソフトウェア派。その頃、ワイヤーラッピングが流行っていたので、分周用ICチップやらラッピングツールの買い出し等、パシリをやってました。
楽譜テープは研究室のミニコンでパンチ出力します。当然、プログラムも(シロピョン以外のメンバーの)自作です。



ここで紙テープの「小ネタ」を披露。

デカいコンピュータが紙カード主体の運用だったのに対して、ミニコンの入出力媒体は紙テープ。最もチープなデバイスは、テレタイプの紙テープリーダ/パンチャを利用することです。

ミニコンとテレタイプだけの構成が最小構成。印刷も表示も、プログラムの打ち込み、紙テープの読み込み、打ち出し、全てこれだけで、事が足りました。

でも遅いっ!!作成プログラムのリスト出しだけで徹夜なんてこともありました。

さらにうるさい!!これは使ったことのある皆さんしか実感できないでしょう。道路工事のスタンパーのような、すごい振動と騒音が深夜の研究室に響き渡りました。

その点、高速紙テープパンチャだと、この打ち出し作業もかなり快適。しかも紙テープ穿孔部の歯が高精度なので、出力した紙テープを巻く作業も、雑に巻いてから最後にキュっと絞ることができて快感です。テレタイプだと穴が凸凹になって、うまく巻けません。

学園祭で借用した光学紙テープ読取装置も高速低音で紙テープを読み取る優れ物です。が…。思わぬ副作用がありました。

紙テープ読取の起動/停止時に「タンッ!」という音がします。高価なメモリチップが買えなくて、自動演奏システムには入力バッファがなかったので、紙テープから1バイト読んでは1音出す仕組みでした。この「タンッ!」という音がリズミカルに会場に響き渡り、予想外のパーカッション効果が加わったのでした。

「タンッタタタンッタン、タンターン…♪」

演奏会の好評不評は二の次。ワイヤーラッピングの緩みを直したり、半田付部分に接点復活剤スプレーをかけまくったり。汗だくの演奏会も、過ぎてしまえばいい思い出です。

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