ランス(Lens)に立ち寄った第一の目的は
2012年12月にオープンした ルーヴル美術館の別館に訪問するため。
(別館については リンクしてありますので 興味ある方はどうぞ☝)
このルーヴル・別館は 非常に広大な土地に
デーン・・・・と 構える平屋(にみえる)。
ガラスとアルミニウム(かな?)で造られた建造物。
この建築は 日本人建築家 妹島和世さん、西沢立衛さんによる
建築家ユニット SANAAが手掛けたものなのだそう・・・・。
建造物表面のガラスやアルミが鏡の役割を果たし
周囲の風景を映し
「景色に溶け込む」≒消える・・・・ 美術館 というのがコンセプトなのだとか。
だけれど(笑)
冬・・・という 何もないシーズンに訪問したせいなのか?
庭園部分が 未完なのか? 工事用重機が入っているせいか?
周囲に溶け込もうにも 何もない!
・・・故
そのコンセプトは活かしきれず
素人目には 「何も無い場所」に突如現れた 無機質な建造物・・・という感じ。
(あくまで 私の訪れた 2016年12月時点の感想ね)
無論 無機質・・・なる建造物 私「は」嫌いじゃないのだけれど・・・・。
この写真で わかるだろうか・・・・・。
四角い建造物の内には
ガラスで囲まれた 円形の部屋がいくつもつくられ
図書室や受付、土産用売店
また 展示室の中では 企画展のコーナーになっている。
同じ SANAAが手掛けた 金沢の21世紀美術館が 円形の建物内に 四角い部屋を用いているのと 「逆」のつくり・・・である。
天井まで伸びる 大きな窓。
その解放感がさらに この美術館を広大なものに感じさせる。
ん・・・・ 心地よい。
さて 常設の展示室を見てみますか・・・・
このルーヴル・別館は 一風変わった展示の方法で
注目をされているそうな。
LA GALERIE DU TEMPS…時のギャラリー・・・・・の名の通り
「地域」を超越し あくまで 時系列に拘った 展示方法。
これが 私のように 世の歴史とやら・・・についての知識に欠けを生じる人間にとっては
ありがたい・・・ そして興味深い 展示方法だな・・・と思う。
トルコあたりの イスラムのモザイクタイルの横には同時代の西洋の彫刻・・・等々
絵画を見て、彫刻を愛で・・・
作品ごとに1つ1つ感心する・・・・というより
同時期に 各々の地域で どのような文化が栄えていたのか・・・という
時代考証に楽しみを見いだせるかんじ・・・。
(あくまで 個人的感想ね)
本家のパリ・ルーヴルには 週末ごとに訪れているが(ここのところ 2~3週間に1回の割合のときも多いが)
何度訪れても その器自体の大さと 展示物の多さに
「慣れる」ことはなく 美術の波に呑み込まれ 疲弊して帰宅する・・・の繰り返しなのだが
この別館は 限られた展示物を広大な敷地を利用して展示されている分
気分的圧迫感がない分 のびやかな気分で
ゆったり鑑賞できる。
そう。
この別館
本家 ルーヴルの所有物が増えすぎ
保管場所にも展示場所にも限りがあるので(あんなに大きな器なのに!!)
その一部を貸し出し 展示するために造られたのだそう。
このLensという町は かつて鉄鋼の町として栄えたそうだけれど
時代の流れと共に 産業は衰退・・・
一種の「町興し」として ココ(ランス)にルーヴル・別館が建てられることになったそうな。
(ご存知ですか? 間もなく アブダビにも別館が出来るんですよ!)
ただ その町興しで美術館・・・・・が 実際に活かしきれるのか?
少々心配でもある。
(異国の無力な女に心配される筋合いはないだろうが・・・)
今・・・を遡ること 20余年前
日本は「バブル」という時代を迎え
様々な地方都市に それは立派な器の
美術館 コンサートホールが 沢山できた。
それも 相当の予算を投じて・・・・。
我がふるさと 水戸市にも
吉田秀和館長の下(現在の館長は 小澤征爾)鳴り物入りで
美術・劇場・ホール三位一体型の水戸芸術館なるものが
造られたのだけれど・・・・
その器 正直 活かしきれず
創設当初とは 大分コンセプトを変更して
運営維持されているように感じる。
天下のおふらんすの誇る ルーヴルの別館は
そんな道をたどることはないのだろうけれど・・・
宝の持ち腐れにならず
町興しの一端を担えるとよいなあ・・と思う。
さて この 別館
是非とも 地下もご覧いただくと とても楽しいと思う。
地下は美術品の保管庫 及び 修復室があるのだが
その作業風景 保管の状態を眺めることもできる。
また 私のような 美術「素人」 が
毎度 大きな美術館を訪問するたびに
疑問に思うようなことの「解」 が
説明されていて・・・ とても面白い。
例) 巨大な 絵画ってどうやって運ぶの? どうやって飾るの!? 等々
時に ルーヴルの建物自体 一部壊してるの!?(驚) 等々
それまでの 素朴な疑問に応えるような 写真が多数・・・
コンサートホールの バッググラウンドツアーのように
時には 美術館の 裏側を知るのも なかなか興味深いのではないだろうか?
このルーヴル美術館
常設展は 無料!(驚)
無論 任意の募金箱は置かれているので
町興しの大切な器・・・・
幾ばくかの 募金をしても
惜しくはない!と思える
貴重な体験をさせてくれる ステキな場所だったと思う。