耳の聴こえない絵描き
ソルト/Shiori Ueda
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ぽっこり仏さまシリーズ
八大龍王編
徳叉迦(とくしゃか)龍王
別名:タクシャカ
共に認める
想いを認める
弱さを認める
《真言》
ナウマク サンマンダ ボダナン
メイギャ シャニエイ ソワカ
(7回・21回・108回など任意の数)
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怒れる黒い龍として描かれることが多く、多毒、多舌、毒視、毒龍という意味をもつタクシャカではあるけれども、仏法を守る八大龍王の一員として存在することから分かるように、実際は衆生に向けた毒ではなく悪鬼などの仏法の敵に向けた毒や威嚇の視線。
このタクシャカの娘とされる龍に「七面天女」や「吉祥天」が存在する。
(※天=龍と共に仏法を守る存在。毘沙門天や大黒天の天も同様。)
攻撃的な存在として書かれてはいても、実際は「舌=言葉」や「視線」によってそれ以上踏み込まないよう線引きをしていることから、双方を認め、双方を守るために動いているということである。
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【八大龍王について】
日本ではインドや中国の思想が神道の思想と混ざり合い、変容し、インドや中国とはまた違った発展を遂げている。
神道における龍とは流(りゅう)が示す通り、滝であったり川であったり、風の流れであったりと、流動的な動きを持つ自然現象を神格化したもの。主に滝のある場所や氾濫しやすい川の近くなどで氾濫しないよう鎮め祀る信仰として発展してきた。
一方、仏教における龍王は天、龍、夜叉、乾闥婆(けんだつば)、阿修羅、迦楼羅(かるら)、緊那羅(きんなら)、摩睺羅伽(まごらか)という「天龍八部衆」の一部たる龍として「釈迦仏に従い仏法の守護をする存在」とされているけれども、その他にも雨乞いの祈願、それによる大地の豊穣を祈るための存在であるので、すなわち天より雨が降るごとくに財を降らせる存在としても崇められている。
日本においては「神道の龍」と「仏教の龍」の2タイプがある。
神仏混淆(神と仏を同一視する思想)や神仏習合(神と仏を共に祀る宗教)の影響で一緒にされていることも多いけれども、はっきりと区別しているところもある。
(神道の龍と仏教の龍の大まかな違い)
神道=龍神・竜神・龍大神・龍王神、龍神祝詞を奏上する、長い胴体に角という龍の姿
仏教=龍王・竜王、真言を唱える、人の姿、人に龍が巻き付く姿
表記の違いなどで区別しやすいです。神社や寺院の由緒を見ながら違いを楽しんでみてください。
神道と仏教が一緒になった龍であれば「○○龍権現」という表記が多くみられます。
ちなみに、仏画で描かれたり像に彫られたりしている龍は眷属としての龍であり、神仏に乗り物として使役されている印象が強い。龍単体で描く場合は例えば天井に描かれたりして本堂の守護などの役目がある。神社であれば手水舎の水を吐き出したり、社殿彫刻として彫られていて装飾や守護の役目が多い。神社や寺での龍の役割も楽しみながら観察してみてください。
文・デザイン/ソルト