耳の聴こえない絵描き
ソルト/Shiori Ueda
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《真理の羽根》
ときに天使が神になりすますことがある。
翼の裏に本当の心を秘め隠して。
ときに悪魔が神になりすますこともある。
その翼を豪奢な衣の下に押し隠して。
全ての天使が善き言葉のみを告げるとは限らず
全ての悪魔が悪ゆえの悪だとは限らず
では我らは何を信じるべきか
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038‐ベルフェゴール
捧げられた心
人の心は醜いものである。
他者を犠牲にする。
自らを犠牲にする。
身を捧げたその先には
地獄が待っているのかもしれない
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どの国のどの神話でも、「神に生贄を捧げる」という行為がある。
元々をいえば自然信仰(アニミズム)の根差す狩猟民族の土地、例えばインディアンの地域や、日本もそうだけれど
そういった土地では「取った命を山の神・海の神に返すことで命が新しい肉体を得て戻ってきて再び自分たちの恵みの肉となる」と考えられたので、殺した動物の肉をいただく前に命を神に返す儀式を行なっていた。これも生贄の儀式のひとつ。
荒ぶる大自然に鎮まってもらうため、より豊穣をいただくためにひとの命を捧げるのも神への畏敬・畏怖から。
生贄、犠牲、というのは、何かしら多かれ少なかれ見返りを求めているということ。
大自然を鎮めるため、恵みの実りのために険しい山の裂け目に生贄を落として捧げていた行為が
いつしか人を堕落させる、生贄を求める悪魔に置き換えられた。
元々は自然神、険しい谷のある山を神格化した神だったとされるベルフェゴールはそうした流れで悪魔となった。
犠牲は美談ではないということだね。
(文/ソルト)