耳の聴こえない絵描き
ソルト/Shiori Ueda
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磨崖仏(まがいぶつ)が好きなんだ。
自然の岩を直接彫り削って刻んだ仏像。
この不動明王なんて、とても柔らかな曲線の迦楼羅炎で、感動するよ。
誰かが500年〜1200年前に彫った磨崖仏を、
長い長い時を経てわたしが見ること、そこに触れることが「奇跡」だから
いにしえの奇跡に触れるその瞬間が好きだよ。
ちいさな子の質問
「墓石はなぜ石なのか?」
こういった磨崖仏、石仏や、◯◯大明神と名前のみ彫られた御神体の石に関しても同じ答えになる。
「朽ちない腐らないから」。
磨滅したり割れたりするけれど、それでも木に比べたら半永久的だ。
もともと、墓石以前にあったのが「卒塔婆(そとば)」
卒塔婆は元々は「ストゥーパ」といって
お釈迦様の骨を納めた供養塔のことで
その形を模したものが日本の卒塔婆。
カタチにちゃんと意味があって
上から
〇 空
〔〕 風
△ 火
〇 水
□ 地
↑かたちが見覚えあるでしょ、卒塔婆っぽいでしょ?
石だと「五輪塔」といって
墓石のカタチもこれの名残り。
話を戻して
「◯◯龍大明神」「◯◯大明神」と名前だけが彫られた石は、
本来は「龍神信仰」のあった地域に多いもので
龍神信仰とは「滝」のこと。
滝の多い地域で発展してきたのが龍神(龍大明神)信仰。
滝や川の多い山の特徴は分かる?
湿度がとても高い!
滝のそばであればあるほど、常に湿度が高く水飛沫がかかるので木で彫った鳥居や像、やしろは腐ってしまう。
だから「石で作る」技術が発達したんだ
◯◯大明神 とだけ彫られた石の御神体を見かけたら、近くに滝があったのかな?とか、龍神に関する神社かな?とか調べてみると面白いよ
(龍神以外にも大明神と呼ばれる場合も多いけど…例:稲荷大明神…まあ、石に名前が彫られているかどうかで判断してみて)
いにしえの誰かの生きた証。
誰かのこころ。
誰かの想い。
誰かが「石」に残した声
「遺志」
すなわちそれは「意思」として
「意志」となって
わたしがそこに邂逅する
奇跡といわずして、何と言うのだろう。
(文/ソルト)