本日は以前掲載した
宮部みゆきさんの「震える岩」の記事です。

先日のドラマを見て
懐かしく読み返しました。
よろしければお付き合いください。

 
私は震災で自宅を流出して
蔵書を全て無くしました。
 
蔵書と言うほど立派な本はなかったけど笑
 夫の手製の本棚にしまってる本は
どれもこれも
何度も読みたいから買った本で
また古くてレアで二度と手に入らない本も多数あります。
 
 
震災後生活が落ち着いてまた
ぼちぼち亡くした本を買おうかと思っても
昔のようなエネルギーは沸かず
本当にパッと読みたい!と思い付いたとき
Amazonで購入しています。
 
でも全然以前のように読みたいとか買いたいとか
思えない不思議…。
 
私も昔のままではいられない
ということなのでしょう・・。
 
 
今の読書に合間に
亡くした本や再び買った本のことも
書いていきたいのでお付き合いください。
 

この本は大好きで
震災後に購入してからも
何度も読み返していて
今朝も読んじゃいました笑
 
人の浮き世の無念や非情涙や死や縁が
織り成す江戸の市井の物語。
 
宮部みゆきさんの描く人の生きる江戸の様子は
まるでそこに今いるような息吹と優しさが
街の賑わいや匂いや気温と共に
人間達の悲喜こもごものやり取りが声として
聞こえてくるような気がします。

 
震災後の私が読みたい!と思ったのは
ラスト近く お初が敵と対峙したシーンの数行。
 
ここでは「暖かい風」とだけ書いておきます。

私はお初が体験したこの「暖かい風」に会いたくて
この本を購入して読んでいます。

人は生きて亡くなるうちに
どれだけ人を愛し慈しみそのために生きられるか
 
江戸と言う閉ざされたような密な時空間で起きた
人の心と情けが産み出した事実と念を纏った怪し。
 
霊験お初が見るものは人間の生きた証の
影であり光であり
事実の写し絵その物だったなのかもしれません。
 
ちゃきちゃきの江戸っ子であるお初が
霊界と人間界を行き来する中で
霊にも人間にも情をもって
理念を持って
精一杯対する姿に私は勇気をもらえるのです。

特別な力があっても
志があっても
地位があっても
そこに人の心が無くては
知恵にも力にも正義にもならない。

温かな登場人物の描写とともに
そんなことを伝えてくれる傑作だと思います。